単なるデータじゃない―生物学的モニタリングで虐待される淡水無脊椎動物

It Is Not Only Data—Freshwater Invertebrates Misused in Biological Monitoring

Paweł Koperski

2023/08/09

https://doi.org/10.3390/ani13162570

論文概要

 

本稿で取り上げて議論するのは、生物学的モニタリング法で淡水環境の生態学的状態を評価する際に、自由に生活する無脊椎動物を使うことの問題点である。無脊椎動物は、環境保護の手続きにおいて倫理的な配慮から除外されており、その結果として(淡水の)サンプリングの際に必要以上に多くの個体が殺されている。バイオモニタリングは、環境保護のための標準的な方法として用いられているが、そのために年間で数百万匹もの水生動物が無残に殺されているのである。

多くの場合において、このような調査活動における水生生物の死亡率が高すぎることが示されており、これは例えば、必要のないサブサンプリング*の手続きによって大半が死んでしまうからである。不適切なやり方で計画・実施される調査手続きは、水生生物の過剰に高い死亡率の原因となり、環境や生物多様性に悪影響を及ぼすと考えられる。

感受性のある生物としての淡水無脊椎動物の存在は、情報としての機能に圧縮され、単にバイオモニタリングの目的に役立つデータに過ぎなくなってしまうのである。淡水バイオモニタリングに起因する無脊椎動物の死亡率、自然個体群に与える影響を調べる際の主要な問題は、サンプリングにおける死亡数を示す生データにアクセスできないことにあると思われる。

 

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