養鶏業におけるヒヨコの淘汰を防ぐ 卵内で迅速に性別を判定する新たなバイオマーカー

論文概要

 

鶏卵は世界で最も多く消費されている食品の一つである。しかし、養鶏業における雄ヒヨコの淘汰は、必要のない苦痛を動物に与えるものであり、こうした慣行を終わらせる方法を見つけることは社会的な優先課題となっている。容認できるとされる手法の一つは、孵化の初期段階で雌の卵を選別し、生命活動を停止させるというものである。本研究ではこれを踏まえ、早期に卵の性別を選別できるバイオマーカーを探索した。

ノンターゲット質量分析を用いて、さまざまな日齢の卵から採取した卵黄嚢液をプロファイリングした結果、3-[(2-アミノエチル)スルファニル]ブタン酸(ASBA)が強力なバイオマーカーであり、9日齢の胚の性別を卵内で予測できることがわかった。

本稿では、卵黄嚢液中のASBAが性別をスクリーニングするための新しいバイオマーカーであり、音響液滴噴射質量分析(ADE-MS)を用いてハイスループットアッセイを最適化できることを示す。特に重点を置いたのは ADE-MS 対応の液体ハンドリングの最適化とデータ処理法の開発で、これによって信頼性の高い性別予測が可能となった。

154検体を対象とした試験では、9日齢の卵の性別を95.5%の予測精度で正確に判定することができた。試作モデルにおける処理能力は1時間あたり1800検体であったが、これは実用化システムでは異なる可能性がある。

 

原文タイトル:Preventing chick culling in the poultry industry with a new biomarker for rapid in ovo gender screening

論文著者:Nicolas Drouin, Hyung Lim Elfrink, Wouter Bruins, Slavik Koval, Chang Liu, David M Cox, J Bryce Young, Serge Desmoulins, Kelly Hoogkamer, Leonard van Bommel, Farzana Azam, James Wighton, Thomas R Covey, Wil Stutterheim, Amy C Harms, Thomas Hankemeier

公開日: 2026/03/04 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s41598-026-42524-w

別のFACTを探す