屋内で飼養される牛の動物福祉を改善する環境エンリッチメント システマティック・レビューとメタアナリシス

論文概要

 

屋内で飼育される牛の身体活動を維持するための環境エンリッチメントでは、ブラシ、ロープ、乳首、鎖、ボール、牛革・ブロックなどの様々な用具が用いられるが、本稿ではこれらが子牛と未経産牛、成牛の動物福祉を改善する上でどのような効果があるか、システマティック・レビューを実施して検証する。

レビューでは査読付き論文33件および関連業界の報告書1件を対象とし、動物福祉に関するアウトカムとして、環境エンリッチメントを用いた後の段階における摂食量、臥床時間、遊びと探索行動に加え、攻撃性や常同行動、クロスサッキングなどの異常行動について評価した。

メタアナリシスの結果、実験環境でエンリッチメント用具に触れた子牛および未経産牛では、成長率が有意に改善し、体を動かす遊びが増えることが明らかになった。クロスサッキング行動は全体的に減少したが、その減少幅は小さく、有意ではなかった。摂食量、攻撃性と常同行動、遊び行動、清潔度に関しては、環境エンリッチメントがスコアに及ぼす効果は研究によって異なり、これらに改善が見られたとする研究はあるものの、影響がなかったこと示した研究もあった。

バイアスリスクの評価では、研究者の盲検化、被験個体群の無作為化、割付情報の隠蔽化に関する手続きには限界があり、こうした傾向は環境エンリッチメントが動物福祉に及ぼす有効性を評価した研究で広く見られた。

本稿のレビューは、環境エンリッチメントが屋内で飼育される牛の福祉と行動に全般的に好影響を与えることを明確に示しており、今後の研究では牛の年齢や飼養環境に応じたエンリッチメントの最適化を検討する必要がある。

 

原文タイトル:A systematic review and meta-analysis of physical environmental enrichment to improve animal welfare-related outcomes in indoor cattle

論文著者:Ganimet Unsal, Kate F Johnson, Sokratis Stergiadis, Richard Bennett, Zoe E Barker

公開日: 2025/06/13 

論文URL:https://doi.org/10.1017/awf.2025.28

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