幼児期における牛乳アレルギーの臨床的負担:後ろ向きコホート研究

論文概要

 

背景: 牛乳アレルギーは乳幼児で広く見られ、消化器系や皮膚、呼吸器系に関わる様々な臨床症状を呈する。従来の研究は主に症状管理の問題を取り上げてきたが、牛乳アレルギーによる臨床的負担はより広い範囲に及ぶものであり、この点について検証した研究は限られている。

方法: アレルギー症状や感染症を含む臨床データをThe Health Improvement Networkデータベースに登録された症例から抽出し、月齢・性別などの要因を統制した後向きコホート研究を実施した。対象となった小児は合計6,998名(男児 54%)で、このうち3,499名には牛乳アレルギーがあり(診断時の平均月齢4.04ヶ月)、牛乳アレルギーのない対照群は3,499名であった。追跡期間は平均4.2年間であった。

結果: 消化器・皮膚・呼吸器の症状は、牛乳アレルギーのある小児では対照群に比べて有意に多く見られ(p < 0.001)、症状が再発する頻度も高かった(p < 0.001)。また、牛乳アレルギーのある小児では、症状が単一の器官にとどまらず、複数の器官系に及ぶ割合が高かった(p < 0.001)。牛乳アレルギーのある小児ではこうした症状との関連がより強く、このため長期にわたり低アレルゲン化牛乳の処方が必要となっていた(ログランク検定 p < 0.0001、未調整ハザード比 [HR]:0.81、95% 信頼区間 [CI]: 0.76-0.85、p < 0.001)。症状が続くため低アレルゲン化牛乳が必要となる期間は3.48年(中央値)で、対照群の2.96年に比べてより長期に及んでいた。

牛乳アレルギーのある小児では、消化器・皮膚・呼吸器・耳の感染症に罹患する割合が有意に高く、対照群と比較してそれぞれ 74% (p < .001)、20% (p < .001)、9% (p < .001)、30% (p < .001)の増加が見られた。これらの感染症は牛乳アレルギーのある小児では再発することが多く、その頻度は対照群と比べた場合、消化器系の感染症では62%、皮膚および呼吸器の感染症で37%、耳の感染症では44%増加していた(p < 0.001)。

結論: 現実のデータから得られた本研究のエビデンスは、小児において牛乳アレルギーが重大な臨床的負担をもたらしていることを示唆するものであり、ヘルスケアを考える上で重要な意義がある。今後の研究では、医療経済に及ぼす影響を明らかにするとともに、臨床アウトカムに影響する可能性があることから、アレルギー症状の病型その他の諸要因、症状管理のアプローチについても検討する必要がある。

 

原文タイトル:The clinical burden of cow's milk allergy in early childhood: A retrospective cohort study

論文著者:Katy Sorensen, Rosan Meyer, Kate E Grimshaw, Abbie L Cawood, Dionisio Acosta-Mena, Rebecca J Stratton

公開日: 2021/12/06 

論文URL:https://doi.org/10.1002/iid3.572

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