持続可能な食料システムへの転換 システマティックレビューが示す社会経済的経路

論文概要

 

食料システムの転換に向けて様々な施策が提案されているが、これらの実装は社会経済状況に左右される。本研究では1,700件を超える論文を系統的に調査し、そのうち349件を選んで詳細に検討した。持続可能な食料システムへの転換において社会経済的要因が担う役割について、世界の様々な地域を比較して検証した。

その結果、持続可能な食料システムへの転換を実現するために次の7つの経路が提唱されていることがわかった。すなわち、持続可能な土地資源と土壌の健全性、精密農業の実践、食習慣の変化と新規食品への移行*、良好な栄養と健康、食品ロス・廃棄物の削減、健全な淡水・海洋生態系、気候変動の緩和と生物多様性の保全である。

こうした目標を達成するためには地域の社会経済における個々の推進要因を考慮した戦略が求められる。持続可能な食料システムへの転換を支援するため、業界関係者や研究者、政策担当者に向けた指針を提供する。

* 持続可能な食習慣への移行は、文化的価値観やジェンダー規範、世代ごとの意識によって左右される。女性や若年層は持続可能な食習慣を取り入れる傾向が強いが、男性や高齢者はその傾向が低く、これには社会的アイデンティティや男らしさに対する認識が働いている。対策としてはインフルエンサーの活用、食に関する規範の再構築、プラントベース食品や新規食品の競争力の向上が挙げられる。政策的にはプラントベース食品に対する補助金の導入、畜産への補助金の廃止、教育やデフォルトの設定などを通じて持続可能な食事を推奨し、消費者の選択を再構築することが考えられる(Box 1 より抜粋)

 

原文タイトル:A systematic review of sustainable food systems identifies socio-economic pathways driving food systems transformations

論文著者:Daniel Chrisendo, Sara Heikonen, Johannes Piipponen,Thomas Banafa, Delphine Deryng, Mohammad El Wali, Matias Heino, Xavier Irz, Mika Jalava, Josias Láng-Ritter, Rachel Mazac, Venla Niva1, Mia Pihlajamäki, Marja Roitto, Hanna L. Tuomisto, Matti Kummu

公開日: 2026/03/06 

論文URL:https://doi.org/10.1038/s43016-026-01317-0

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