漂流型集魚装置が及ぼす世界的な環境負荷

論文概要

 

マグロは世界で最も価値の高い海洋生物の一つであり、長年にわたり漁業によって乱獲されてきた。近年、マグロ漁業に従事する企業では、回遊する魚を直接狙う漁法から漂流型集魚装置(dFAD)へと移行しつつある。dFAD とは、衛星による追跡機能を備えたブイで、海流に乗って移動しながらその下方に魚を集める装置である。本研究では、世界的にこうした装置が環境に与える影響を推定し、これを軽減するための取り組みの進展を30年間にわたって追跡する。

2007年から2021年までに投下されたdFADブイは141万基で、少なくとも1億3400万平方キロメートルの海域を漂流したと推定され、これは地球の海洋表面積の37%に及ぶものである。紛失したdFADが漂着する海洋管轄区域は104に及び、これが沿岸汚染の一因となって脆弱な生息地に悪影響を及ぼしている。

規制を通じてデータの質を改善し、混獲や汚染の問題に対処する取り組みには進展が見られるものの、dFAD の設置に規制がないことや持続不可能な混獲が続いていること、業界側の責任意識の乏しさに関してはいまだ懸念される状況にある。本研究の結果から、dFAD による累積的な環境負荷がマグロ漁場をはるかに超えて及んでおり、地球規模ではいまだ不十分な緩和策しか講じられていないことが明らかとなった。

 

原文タイトル:The global footprint of drifting fish aggregating devices

論文著者:Laurenne Schiller, Nidhi G D'Costa, Boris Worm

公開日: 2025/05/07 

論文URL:https://doi.org/10.1126/sciadv.ads2902

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