精密育種による鶏の眼球色素を用いた卵内雌雄鑑別

論文概要

 

採卵鶏の雄のヒナを全て淘汰することには倫理的な観点から問題とされており、ドイツをはじめとする欧州諸国では禁止措置が取られているが、それとともに、卵内で雌雄を鑑別できる信頼性の高い手法を確立するべく研究が進められている。従来の手法の多くは外来のDNAを導入するものか、あるいは一部の系統の鶏にのみ利用できるもので、いずれも商業化に必要な条件を満たしていない。

ここで示す卵内雌雄鑑別の手法は、外来DNAを導入することなく広い範囲で適用可能なものである。SLC45A2は色素形成で必須となる輸送体をコードするZ染色体連鎖遺伝子で、本研究では精密育種によって育成した鶏において、この遺伝子を標的として破壊した。

ノックアウトした雌のヘミ接合体(SLC45A2KO/W)では胚発生7日目に眼球に色素脱失が見られたのに対し、ノックアウトした雄のヘテロ接合体(SLC45A2KO/+)では正常な色素沈着が保たれていた。この2つのパターンは視覚的に明瞭であり、卵の透光検査による通常の手法でも正確に雌雄を鑑別できる。ノックアウトした個体の受精能力および繁殖成績は野生型の鶏に比べて変わりはなく、遺伝子型判定による予測精度は100%であった。

この手法は従来の多くの技術とは異なり、複雑な装置を必要とせず、孵化の早期における検出が可能である。本研究の手法は、鶏の雌雄を鑑別するうえで実用性が高く、倫理面の問題に対応できるものであり、これは商業孵化場にとって極めて有用である。現代の養鶏業では動物福祉に関して喫緊の課題が存在しており、本研究の結果は、より広い意味において精密育種(プレシジョン・ブリーディング)の可能性を示している。

 

原文タイトル:Eye pigmentation-based in-ovo chicken sexing via precision breeding

論文著者:Yi-Chen Chen, Shuo-Wen Hsu, Eisuke Shimokita, Tatsuya Takemoto

公開日: 2026/04/01 

論文URL:https://doi.org/10.3389/fbioe.2026.1785893

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