何が、米国の消費者が植物性卵を買いたくなる要因となるか?

論文概要

 

米国の消費者を対象とした調査実験では、植物性卵の価格が安く、またスクランブルエッグとして提供される場合よりパンケーキ作りに使う場合に、購入したいと答える傾向が強かった。

植物性卵は、養鶏された鶏の卵に代わる食品であり、環境面と動物福祉面で利点がある。植物性卵市場は成長しており、売上は2019年から2020年に173%、2020年から2021年に43%、2021年から2022年に14%増加した。2024年の売上は7,110万ドルに達したが、植物性卵市場は依然として非常に小さく、米国の卵市場全体のわずか0.5%にすぎない。

植物性食品に対する消費者の選好を扱う研究の多くは、植物性肉や植物性ミルクに焦点を当ててきた。植物性卵に関する研究は限られており、特に米国を対象とした研究は少ない。そこで本研究は、植物性卵に対する米国消費者の認識と購入選好を調べた。研究者は計1,628人を募集し、2023年5月から6月にオンライン調査を実施した。標本は年齢、性別、所得について米国人口を代表するよう構成された。 調査の第1部では、参加者を無作為に割り当て、植物性卵を使った朝食に関する8種類の短いシナリオのうち1つを読ませた。シナリオでは次の3要因を変化させた。

  1. 食事の価格(4.99ドルまたは7.99ドル)
  2. 食事をした場所(自宅またはレストラン)
  3. 料理の種類(スクランブルエッグまたはパンケーキ)

その後、参加者は植物性卵製品を購入する可能性を、「絶対に購入しない」から「絶対に購入する」までの5段階で評価した。したがって、3を上回る評価は購入に前向きであることを示す。 平均評価は2.95(自宅で7.99ドルのスクランブルエッグ)から3.74(自宅で4.99ドルのパンケーキ)までだった。8つのシナリオのうち7つが尺度の中間点(「どちらともいえない」)を上回り、全体として回答はやや肯定的に傾いたが、判断を決めかねている参加者も多かった。

価格と料理の形態はいずれも購入意向に影響した一方、食べる場所には有意な影響がなかった。具体的には、価格が安く、植物性卵がパンケーキに使われた場合に、購入すると答える可能性が高かった。料理の形態と食べる場所の複合効果を調べた分析では、スクランブルエッグより植物性パンケーキを好む差は、自宅よりレストランで小さかった。ただし、この点を裏付ける証拠は弱かった。

さらに、いくつかの個人属性が購入意向と関連していた。最も強い関連を示したのは経験だった。植物性卵を以前に食べたことがある参加者(サンプルの約34%)は、購入すると答える可能性が大幅に高かった。また、次の参加者でも購入意向が高かった。

  • 55歳未満(特に18~34歳)
  • 都市部の居住者
  • 南部と比べて北東部の居住者
  • 他の人種と比べて黒人またはアフリカ系米国人と自認する人
  • 食料支援を受けている人
  • 政治的によりリベラルな見解を持つ人
  • 世帯人数が少ない人
  • 18歳未満の子どもが同居している人

一方、性別、所得、教育水準と購入意向の間には有意な関連がなかった。 調査の第2部では、従来の卵と植物性卵に対する参加者の認識を、次の観点から比較した。

  1. 製品特性:自然さ、味、価格、安全性、利便性、栄養、見た目、環境への影響、動物福祉
  2. 栄養:カロリー、総脂肪、コレステロール、ナトリウム、炭水化物、たんぱく質

各項目は、「従来の卵のほうがはるかに優れている」から「植物性卵のほうがはるかに優れている」までの5段階で評価した。したがって、3を上回る評価は、植物性卵が従来の卵より優れていると見なされたことを示す。

従来の卵は、環境への影響と動物福祉を除くすべての特性で、植物性卵より平均評価が高かった。ただし、環境への影響と動物福祉の評価はそれぞれ3.1と3.3で、尺度の中間点(「従来の卵と植物性卵は同じ」)に近かった。このことから、平均的には植物性卵の優位性は小さいと参加者が見ていたことが分かる。

栄養面の評価は全体として中立に近かった。たんぱく質では従来の卵が優れていると見なされたが、カロリー、ナトリウム、炭水化物ではわずかな優位にとどまった。総脂肪とコレステロールでは、植物性卵のほうがやや好意的に評価された。

多くの研究は、味、食感、においなどの感覚的要因が、植物性食品の受容に大きく影響することを示している。しかし本調査では、参加者は実際に製品を味わったり、見たり、においを嗅いだりしていないため、結果は期待に基づくものにすぎない。また、「動物由来原料不使用」や「コレステロールゼロ」といった訴求を含むマーケティングが購入意向に与える影響は調べていない。さらに、パンケーキとスクランブルエッグに対する参加者の元々の好みを把握していないため、パンケーキの優位性が植物性卵に特有とは限らない。加えて、結果を米国外に適用できるかは不明である。たとえば、他国でも植物性スクランブルエッグより植物性卵入りパンケーキが好まれるかどうかは分からない。

こうした限界はあるものの、結果はいくつかのマーケティング戦略を示唆している。植物性卵を食べた経験が購入意向の高さと関連していたため、試食会や無料サンプルなど、実際に試す機会を設けることには価値がある可能性がある。ただし、もともと植物性卵に前向きな人ほど試す可能性が高いだけかもしれない点には注意が必要である。パンケーキのような好まれる料理の材料として植物性卵を使うことも、試してみようという気持ちを高める可能性がある。特に若年層や都市部の消費者は、初期普及段階の対象として有望かもしれない。

植物性卵が持つ環境面と動物福祉面の利点に注目を集めることも一つの道である。この2点は、植物性卵が従来の卵を上回った唯一の製品特性だった。参加者が感じた優位性は小さかったため、これらの利点をより明確に伝える余地がある。最後に、食べる場所が影響するという証拠は弱かったものの、著者らはレストランやカフェテリアなどのメニューに植物性卵を加えることで、より持続可能な食事を選びやすくなる可能性を指摘している。

※本記事はこの記事の最下部にある論文のFaunalyticsのリサーチャーによる要約を、同団体の許可を得て翻訳したものです。

 

原文タイトル:Consumer perceptions and purchase behavior towards plant-based eggs: A vignette experiment

論文著者:Kim, D. E., & Ellison, B. (2025)

公開日: 2025/03/14 

論文URL:https://doi.org/10.3390/foods14101742

別のFACTを探す