まず、利益が生まれそれによって生活している人が存在するということが、その行為を正当化する理由にはなりません。 売春や麻薬、拳銃の密売、人の臓器売買は利益を生みますが、それらは現在では重大な罪になります。現在動物を利用する産業はとても巨大で、これで生活している人も大勢いますが、このことが動物に苦痛を与え一方的に利用してよい理由にはなりません。さらに、例えば健康増進のために喫煙に反対する人は、タバコ産業で働いている人の権利を奪っているといえるでしょうか? それを国民が支持する場合、その業界で働いている人がいることを理由に反対できないとすれば、どんな市民活動もなりたちません。30年前、環境運動を先導する人は、高度成長をめざしてビジネスに取り組んでいる人の敵でした。 しかし現在では、環境ビジネスはステイタスを得て、特にドイツでは大きな産業を形成しています。地球を汚す産業から、地球を浄化する産業へ労働人口の大移動が起きました。 今すぐに肉食禁止や動物実験禁止の法律ができれば、確かに一時的に失業者が増えると思いますが、いずれ他の産業へ移行することになります。NEDOの報告書では、動物実験代替ビジネスの市場規模が計算されていますが、それは現在の動物実験に携わる業者を上回る規模となります。 どんな活動でも、現在のビジネス界(利害関係者)から反発があるのは当然です。うまく次の段階へ移行する道をしめしながら、交渉していく必要があると考えています。Share This Previous Article順天堂大学から実験に使われる犬を盗み出したという事件があったと聞きました。真相を教えてください Next Article人が動物の権利を「まもる」ことは偽善ではないですか? 2019/04/02