2021年が終わろうとしています。今年は動物たちにとって、減らない犠牲、新たに明らかになる虐待、そして少しの希望、そんな一年でした。アニマルウェルフェアを阻害 鶏卵業界贈収賄事件アキタフーズ元代表が元農林水産大臣に賄賂を度々渡していた事件が、明らかになりました。この事件の背景にあったのは採卵鶏のアニマルウェルフェア。まさに、私達が取り組んできたOIEのアニマルウェルフェアコードについてでした。ずっと、どうもおかしい、農水省はなぜこんなにもコード案への反対意見を無理やり述べ続けるのか、と訝しんできた理由が明らかになりました。政治家への賄賂、そして農林水産省職員への接待、長時間に渡る陳情が背景にあったのです。アキタ元代表は有罪になり、自分たちの業界がいかに不遇なのかを訴えたといいます。しかし、自分自身で卵の価格と価値を下げ続け、そのしわ寄せをすべて鶏に押し付けた人物を、私達は理解することはありません。決して。弱者を極限まで苦しめることで利益を得て、さらに不正まで働く。これが鶏卵業界です。アニマルウェルフェアを向上させることは、卵の価値を今一度あげる唯一の機会です。これを逃せば二度と卵の価値が上がることはないでしょう。その芽を自分で潰そうとしたにもかかわらず、またいくつかのアニマルウェルフェアに取り組む養鶏業者の努力を無に帰そうとした行いは、とても経営者だったとは思えない行動でした。環境省農水省が畜産現場の虐待の改善通知豚の首吊、鶏の衰弱死等、不適切な殺処分、告発も含めて厳正な対処を要請2019年からアニマルライツセンターではある中規模養豚場で弱った豚を首吊で殺していたことについて、環境省や政治家に改善を訴えていました。これを受け、環境省は農林水産省と連盟で改善通知を出しました。不適切な殺処分が行われる場合は告発も含めて対処すべきであるとするもので、環境省としては責任を果たしたと言えます。これに従い、農林水産省、各都道府県の農政部局や屠殺に関する部局は、改善のための監視を行うべきです。私達市民も、今後も継続して、農場、屠殺場の監視を行います。うずらの卵の悲惨さ、明らかに私達は今年始めて、鶉の卵に利用される小さな小さなうずらたちが、どれほど過酷な状況に置かれているのかを知りました。飛ぶ動物であるにも関わらず、ケージがあまりに低く、頭すらはげてしまい、またたった100gしかない体重から9~12gの卵を日々産まなくてはならないのです。鶉の卵はもはや必要な食べ物ではありません。小さな犠牲者 ウズラの卵とその実態政治も変わりはじめた国会での答弁は時を追うごとに少しづつ変わっていっています。これまで政府はアニマルウェルフェアを”快適性に配慮した飼育”といった誤ったアニマルウェルフェアの意味を緩やかなものに恣意的に変えていましたが、アニマルウェルフェアの認知が高まるに連れ、政府はアニマルウェルフェアを少しづつ正しく認識せざるを得なくなりつつあるようです。2月、小泉元環境大臣は串田元衆議院議員の質問にバタリーケージには止り木に止まったり、地面をつついたりと言った鶏が本来備えている行動欲求を満たすことができないという課題があって、アニマルウェルフェアの行動の発現の自由の観点からはこういった飼い方が推奨されるものではないと考えています。ー小泉環境大臣(2021年2月25日環境委員会)と答えました。あたりまえの内容ですが、これまで、これを政府は認めなかったのです。今後も変わらざるを得ないでしょうが、それを早めるべく、アニマルライツセンターでも取り組みを深めていきます。東京オリパラ、ついにAW低いまま開催2016年以降、アニマルライツセンターでは東京五輪の会場や選手村で提供される食材のアニマルウェルフェアを国際スタンダードに合わせ、ケージフリー、妊娠ストールフリーにしてほしいと要望し続けました。キャンペーンも行い、情報の広がりはあったものの、結果はバタリーケージや妊娠ストールなどの拘束飼育は排除されることがありませんでした。今年、東京五輪の畜産物の調達基準が不足しておりバタリーケージの卵や妊娠ストールの豚肉、超過密飼育の鶏肉などが提供されることに対してアニマルライツセンターから大会組織委員会等に対して、東京五輪の組織委員会と内閣官房に対して選手村で使用される要望書を提出し、最後の要望をしました。回答は残念なもので、基準は日本としては頑張ってほうだと主張しているようでした。負のレガシーを残した東京五輪、今後の国内の畜産の未来は暗いかもしれません。同時に、動物たちにとっては過酷な状況が続くことになります。畜産業者の要望で畜舎が建築基準法から外れる命の大切さなんて、日本人はもう語ってはいけません。年間10億頭もの動物、つまりは日本国内のほとんどの動物が詰め込まれている建物は、建築基準法を守らなくていいということが決まりました。当然ながら、そこの中で働く従業員の命も守られません。アニマルライツセンターからの働きかけにより、決議にはアニマルウェルフェアについての記述が入りましたが、果たして意味はあるのか・・・崩れ落ちる建物の中では、アニマルウェルフェアなんてゼロなのです。鳥インフル900万羽、生産調整1400万羽を殺す2021年の鶏卵の価格は、鳥インフルエンザと鶏を殺すことで高騰しました。鶏卵業界は、卵の価格が下ってくると、(つまり供給が需要を上回りすぎると、、、つまり卵が人気がなくまた養鶏業者が鶏を多く飼育すぎると、)産卵中の鶏を殺します。鶏が殺されて数が減れば、卵の数は減ります。だから価格が正常に戻るという理論です。鶏を殺した養鶏場と、屠殺場(食鳥処理場)は、殺した羽数分、金をもらいます。この仕組で鶏を殺し始めたのが、新型コロナウイルスの感染爆発直後。そこから夏の終りまで殺し続け、冬になると鳥インフルエンザでまた鶏を殺し始め、更に翌年1月には鳥インフルエンザで大量に殺している中、この仕組も使ってダブルで鶏を殺しました。過去の殺害数を遥かに上回る数の鶏が、価格の調整のために殺されました。改めて、卵は動物の苦しみでできていることがわかります。お金を払えば、この虐待を助長することになります。たとえ安くても、たとえ高くても、手に取るべきではないでしょう。ケージフリー宣言続々今年も60件のレストラン、ホテル、飲食チェーンがケージフリーに切り替えることを約束してくれました。過酷な拘束を解くという、人道的な選択をした企業に心から感謝します。妊娠ストールの問題に光!拘束されて、身動きが取れない。横も向けない。唯一の楽しみである食事は時々しか落ちてこず、十分な量ではない。飲み物は水だけ。やることはなく、気が狂う。ただ毎日、人工授精で腹に宿された子供だけが育っていく。この動物を究極的に苦しめ、惨めな状態に陥らせる飼育である妊娠ストール飼育に対する活動をはじめて11年が経っていました。世界では2018年ごろまでには大手食肉企業がこの飼育をやめることを発表しており、すでに終わった活動になりつつありました。養豚業界の方と話をしても、「かわいそうだと思っている」という言葉までは引き出せても、この飼育を終わりにできずにいました。しかしようやく、日本最大の養豚企業日本ハムが、動かなかった日本の状況を打破してくれました。この決定を引き出すことができたのは、みなさんの継続した声、そしてアニマルライツセンターが日本ハムとの話し合いにつくために尽力してくれた方々のおかげです。畜産物の消費量、未だに増加継続(魚除く)ヴィーガンという言葉は一般に認知されてきました。メディアも多く取り上げ、ごく普通の食べ物の一つになったようです。ヴィーガン製品をあらたに導入する企業も増えました。しかし、結果はどうでしょうか。畜産動物の犠牲数は増え続けています。メディアで畜産動物を取り上げる機会が増えたとてもいい兆候です。NHKのクローズアップ現代や、神奈川テレビをはじめ、多くのメディアがアニマルウェルフェアについて、またヴィーガンについて取り上げました。アニマルライツセンターも幸い多くの取材を受け、またコメントを掲載していただきました。力を持つマスメディアが変わることは、希望です。効果的な活動をやり続けたいアニマルライツセンターは800億の畜産動物、そしてその先に控える数千億の魚たちの苦しみを”効果的に”減らすことに尽力しています。なぜなら、これらの動物を救わなければ、殆どの動物を救っていないということだからです。企業交渉では、会ってお話をすると、理解を示し、次の一歩に進んでくれる企業がほとんどです。アニマルウェルフェアへの取り組みを必要ないという企業はありません。植物性たんぱく質への取り組みも前向きに捉えてくれます。私達アニマルライツセンターは、スタッフを必死で増やしています。それはこの効果をあげられる企業との対話に力を注ぐためです。当然、現状を知るための調査、解決策を導き出すための分析、市民を味方につけるための啓発や教育が土台となっています。食や衣類に関わる動物の問題は、その犠牲があまりに日常に溶け込みすぎて、危機感を抱いてもらえないようにも感じています。しかし、間違いなく、私達と同じように知覚と知能を持つ800億~数千億の動物が毎年、助けを求めています。私達は、調査をし、情報を発信し、消費者と企業を啓発し、企業や政府と対話し、生産者に方法を示し、政治家を説得し、味方を増やす活動を続けています。これらのすべての活動はみなさまの会費と寄付に支えられています。どうか、アニマルライツセンターに力を貸してください。動物たちを一刻も早く、一頭でも多く解放するために、ご寄付という形で活動を支えてください。私たちは動物のために力を尽くします。アニマルライツセンター 理事・スタッフ一同寄付クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleGood news! Sun-Ace(サンエース)ファー&ファーウールフリー! Next ArticleアニマルライツチャンネルVol24[楽しく伝える極意を見る] 2021/12/29