2023年10月25日に発表された研究は、毛皮農場の公衆衛生、アニマルウェルフェア、環境への悪影響を特定し、閉鎖が必要であると結論づけています。この研究は、280 件の動物福祉、人獣共通感染症と公衆衛生、毛皮養殖の環境への影響の問題に焦点を当てた研究を分析したものです。19 か国、少なくとも 15 種の動物が対象となり、アニマルウェルフェア上の16の懸念(例:苦痛、ストレス、異常行動、不衛生な状態、強制的な肥満、高い罹患率と死亡率)、18の公衆衛生上の懸念(例:細菌n = 6、ウイルスn = 5、寄生虫n = 7)、および4の環境上の懸念(温室効果ガス排出、侵略的外来種、有毒化学物質、富栄養化など)が調査されました。内容は研究結果を見てほしいが(長いので・・・)、彼らの出した結論はとても興味深いもので、重要なものです。「私たちは、特定の毛皮養殖慣行を監視および管理するためのいくつかの推奨事項を提案しますが、多くの政府や他の調査官と同様に、固有の問題は本質的に解決不可能であると結論付け、この分野の完全な禁止を主張します。」アニマルウェルフェアの課題はもちろん最もぞっとするものであるが、公衆衛生上、環境上の課題もひどく、一つ一つの分析を読むと、こんなにも危険に全世界の人々や動物を晒しながらよく商売できるものだと呆れてしまいます。また、リアルファーやファーウールを使用し続けたり、使用しないことを表明していない企業は、社会の存続にとって悪であると思わざるを得ないでしょう。毛皮の生産由来の18の病原体とウイルスの拡大が認められており、その内訳は細菌性= 6、ウイルス性 = 5、寄生虫性 = 7です。SARS-CoV-2、マイクロバイオームとバイローム病原体のような人獣共通感染症、ジステンパーウイルスやアリューシャン病、狂犬病が流行った農場も有りました。流行性壊死性膿皮症やクラミジア症、大腸菌感染症のような細菌とともに、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のような抗生物質耐性株も特定されています。また、毛皮農場におけるコクシジウムの有病率は56~69%と記録されている研究も有り、壊滅状態なのでは思わざるを得ません。環境問題としては、繊維の中ではGHGが異常に高いことも裏付けられています。これらは毛皮動物の糞尿が他の種よりも不均衡に多くの窒素、リン、および温室効果ガスを生成すると分析されています。また、侵略的外来種については、日本でも多額の税金がかけられ今もずっと動物たちが殺され続け、人びとの心も荒廃させる要因となっていることは周知の事実です。日本ではヌートリアやアメリカミンク、アライグマなどが毛皮農場由来で殺され続けています。これは日本だけでなく世界中で起きており、その多くの原因が毛皮農場にあります。全体を読んでいくと、この研究を行った研究者たちがなぜ”毛皮農場の廃止”を強く推奨するに至ったかがわかります。思ったよりも断然酷い・・・という状況だからであり、またそれらの改善が進んでいないことにあるようです。ところで、この論文の中に、不名誉なことに、日本が毛皮農場を禁止しない最後の6カ国に残るように書かれています。実質、廃止されているが、禁止する法律がなければこのような評価になってしまうのでしょう・・・。カナダ、中国、アイスランド、ロシア、米国といった毛皮によって動物を苦しめる国々と並んでしまったことは残念なことです。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article改良型ケージまたはケージフリーの環境は本当に鶏の生活を改善するのか? Next Article千葉県の児童館がケージフリー給食を開始! 2023/11/09