映 画、テレビ番組、コマーシャル、見せ物、動物園・・・ありとあらゆる娯楽と宣伝分野に動物たちが使われています。日本ではとりあげられるこ との少ない娯楽に使われる動物の問題を考えるきっかけにしていただければと思います。このページの情報の原文は 3 Important Reasons Not to Take Children to the Circusと題された12頁ほどの冊子で、2006年1月に作製されています。 なお、原文の中には、日本人から見て不適当ともとれる表現が含まれる部分があります。しかし、これも現実の一端を示すものとして、あえてそのまま翻訳しました。御理解いただければ幸いです。1:動物たちへの虐待 2:子供たちへの危険 動物たちの逆襲 3:暴力犯罪の前歴を持つサーカス労働者1:動物たちへの虐待テントの裏で、動物たちがむち打たれているサーカスで働かされている動物たちは、したくて芸をしているのではありません。そうしなければどんな目に遭うのかという恐怖感が、彼らに芸をさせているのです。 調教師たちは、調教棒(鋭い鉤のついた棒)、さまざまなタイプのムチや杖、スタンガンなどを携えています。もしも、サーカスが動物のやる気を引き出す訓練だけで成り立つものならば、調教師たちは武器ではなく、おやつの袋を抱えていることでしょう。 ビデオに撮られた映像や、元調教師、以前サーカスで働いていた人たちの証言によれば、調教師は常に裏では暴力と虐待的な調教方法を用いています。 PETA は以下のような告発を受け取っています。 口輪をつけられ、縄でつながれ、叩かれておびえきっている熊たちサッカーボールのように蹴られている鳩たちうまく芸をしたときしか餌をもらえない犬たちぎざぎざのついた木の棒で何度も打たれる、ライオンやトラなどの大型猫科動物たち金属棒で強打され、リモコンで電気ショックを与える首輪をつけられた猿たちビデオにとらえられた虐待カールソンアンドバーンズ・サーカスの象の調教の様子を隠し撮りしたビデオによると、調教師は象にたいして大声でわめいたりののしったり、象が悲鳴を上げるまで調教棒やスタンガンで邪険に殴ったりしています。 また後輩の調教師に対して、鋭くとがった鉤を象が痛みで叫ぶまで皮膚の奥深く、肉を裂くほど突き刺すように命令し、しかし象にそのような暴力を振るっていることは世間に知られないようにと教えている様子も映っています。 この調教師は、リングリングブラザーズ・サーカスの象を調教していた父親から、そのやり方を学んだのです。リングリングブラザーズの調教師たちが象を叩いたり、皮膚をえぐったり、鞭打ったりしている様子は、これまで何度となく撮影されています。かつて調教師で、現在、象のためのサンクチュアリを経営しているキャロルバックリーによれば、恐怖の念を植えつけるために罰を与えることは、サーカ ス業界の常套手段です。象は身体的な痛みと心理的なおどしによって、命令に従わなくてはならないということを教え込まれるのです。 サーカスで使われているすべての象は、このやり方で調教されています。動物保護法は形式だけア メリカにおいても、サーカスの動物たちを守るための法律は、内容が不十分なうえに、強制力に乏しいものです。連邦動物福祉法はアメリカ農務省(USDA) の管轄ですが、見世物に使われる動物たちの飼育について最低のガイドラインを示しているだけで、調教棒や鞭、スタンガンその他の、痛みや苦しみをもたらす 道具の使用を禁じていません。移動生活 トレイラー・檻・鎖サーカスの動物たちは、換気の悪いトレイラーやボックスカーで、年に50週間も、どんな悪天候の時であっても移動させられます。 プエルトリコ当局はアメリカ農務省の認可を受けたサーカスが、華氏113度(摂氏45度)の炎暑の中であえぐ7頭のホッキョクグマを輸送しているのを発見しました。 別のケースでは、気温が華氏120度(摂氏49度)までに上昇したサーカストレーラーの中で、8歳のアフリカゾウが死んでいるのが発見されました。リング リングブラザーズの2頭のトラは、高温になったボックスカー内の檻から逃げようとして必死にもがき、牙を折るなどの大怪我をしました。 同サーカスの2歳のライオンは、狭苦しいボックスカーで強烈な暑さの中、マハーベ砂漠を横断する旅をさせられ、車内で熱射病で死亡したことがわかっています。怒り、退屈、そして故郷を失うサーカスで使われている象の大部分は、幼いときに野生で捕まえられたものです。故郷の自然から遠く引き離され、一生の大部分を、両足に足かせをはめられて いるか、小さな檻に閉じ込められて過ごすのです。大型猫科動物(ライオンや虎や豹など)、熊、猿たちは、いつも同じ窮屈でむきだしの檻の中で、睡眠、飲 食、排便、排尿のすべてをすることを強いられています。このような極端な拘束は、常に移動するというサーカスの特性上、避けられないものなのです。故意に惨めな状態におかれる動物もあります。 ロイヤルハンフォード・サーカスのある調教師は、チンパンジーたちを、「外に出した時、もっと芸をやる気になるだろう」という理由で一日のほとんどの時間ひとりぼっちで閉じ込めたことを、アメリカ農務省の視察官に認めました。サーカスで使われている動物たちは、しばしば、明らかな精神的苦痛の兆候である、身体を揺らす、歩き回る、頭を振り続けるなどのストレス性の異常行動を示します。常に鎖につながれ、運動もできず、便や尿にまみれた硬い床の上に立ち続け、そして肉体的に不自然でありえない芸をさせられる。これらのすべてが動物 たちに身体の障害をもたらしています。飼われている象たちを安楽死させる最も一般的な理由は、拘束状態からくる足の障害と関節炎です。象や虎、熊のような動物たちは、その自然の生息地では自由に群れをつくり、長い距離を駆け回り、家族を作り共に戯れています。子供たちへの危険 動物たちの逆襲恐怖におののく子供達を背中に乗せたまま、暴れまわる象がサーカスの観客たちをパニックにおとしいれ、調教師を踏み殺し、あげくの果てに特別機動隊によって市街地で射殺されるという事件が起きています。ここにそうした例をいくつか挙げてみます。ストレスが限界に達して調教師を襲った象が、背中に乗っていた子供たちに怪我をさせたという事故が3件。15歳の象が、3歳の女児の首に鼻を巻きつけアリーナの中に引きずり込もうとして、女児に怪我を負わせる。象が、最前列の観客席と舞台を隔てるフェンスをなぎ倒し、その下に8人の子供を押さえつける。5人の子供たちを背中に乗せていた雌の象が暴れ出し、12人に怪我をさせ、警官を地面に投げ倒す。象は警察によって射殺。人を乗せた象が乗降台に倒れこみ、待っていた乗客が台から転落し、3人の子供が負傷。3000人以上の子供たちがいる観客席の通路を象が突進して、壁を切り裂く。危険なのは象だけではない首輪をつけられ繋がれている2匹のチンパンジーが、サーカスの最中に暴れだし、ひとりの子供を観客席からから床に引きずり出し噛みついたことがあります。 シュライン・サーカスで使われていたある熊は、大勢の子供たちに触られていたとき、2歳児の指の先を噛みちぎりました。 移動サーカスの豹が檻から逃げ出し、3歳の女児の首に噛みついたこともあります。病気の温床動物の中には、人間に伝染する病気を持っているものがあります。アメリカでは近年、飼われている象たちが人間の結核に感染して死亡しています。人間への逆 感染の危険があるにもかかわらず、結核に感染している象たちが巡業しています。この伝染性の高い細菌性肺疾患が、象たちや共に働く調教師たちの間で広がっ ています。 いくつかのサーカスは、ふれあい動物園も一緒に巡業しており、医学の専門家は、この動物たちが大腸菌やサルモネラ菌のような死に至る可能性のある細菌を子 供たちに感染させると警告しています。アメリカ公衆衛生獣医協会は、動物と接触することと、様々な細菌、ウィルス、寄生生物などの病原生物の感染には関連 性があると指摘しています。児童心理学者は、サーカスが子供たちに危険なメッセージを与えると指摘ノースキャロライナ大学医学部小児科の教授で発達・学習研究臨床センター長のメルヴィン E. レヴァイン博士はこう警告しています。子供たちをサーカスに連れて行くと、入場料以上のコストを支払うことになるかもしれないと。 レヴァイン博士は大多数の心理学者と同様に、共感能力、つまり他者の身になって考える能力を身に着けることが、子供にとって不可欠であると信じています。動物たちが屈辱的な芸当をするように強いられる見世物は、それと正反対のことを教えるのです。 レヴァイン博士はこう書いています。「ある子供が別の子供に対してできる最も残酷なことは、その子を仲間たちの前で辱めることです。動物を嘲り、笑い、侮辱にさらすことは、それと同じ くらいひどい行為です。」動物が小突き回されている様子や、彼らにとって大切なものをすべて奪われ、公衆の面前で辱められているところを子供たちが見ると き、感じやすい幼い心は異常な社会的価値観を育む危険にさらされているのです。レヴァイン博士は、親たちが子供たちを動物の芸を見せに連れて行かないよ う、こう述べています。「そのような場所で子供たちが学ぶものは『他者の感情や欲求、権利もすべて』無視することなのです。」野生では、熊は自転車には乗りません。象は桶の上にきちんと座ったりしません。そして虎たちは火の輪を跳んでくぐり抜けたりしません。 動物たちは、絶えず罰を受けるという脅威がなければ、これらのひどく滑稽な曲芸を1年間に何百回も繰り返し演じることなど、決してありません。 昔、サーカスではしばしば「奇人ショー」が見られました。身体的な奇形や医学上の問題を持った人々、例えば結合双生児や極度に肥満した女性などが、笑い者 にされていました。それからすると、私たち人間は大きな進歩をとげました。しかし、私たちは未だに何が正しいのか、そうでないのか完全に学んだとはいえま せん。動物に服を着せ、ぎごちない道化の真似をさせることは、時代遅れな悪習です。 サーカスは野生動物のゆがめられた姿を見せることにより、学校教育で子供が学ぶことを台無しにしかねません。科学は動物と彼らが生きる環境との関係について教えますが、サーカスは動物をその自然の住処と家族から引き離し、人工的な環境の中で見せ物にするのです。暴力犯罪の前歴を持つサーカス労働者※アメリカの調査です。麻薬中毒の従業員たち元リングリング・サーカスの舞台監督は、従業員の中に麻薬やアルコールの中毒者がいたと述べています。彼の巡業中に、従業員が麻薬の過剰摂取で車両の中で死んでいるのが発見されました。その男性の腐敗しはじめて悪臭のする死体が発見されたのは、死後3日目のことでした。 別のサーカスのある調教師は、象に踏み殺された後の検死で、その身体からコカインとアルコールが検出されました。 また、別の巡業サーカスでは、テントの支柱の中に隠された3トン以上のコカインが、連邦捜査官によって押収されました。 ある隠し撮りビデオは、カールソンアンドバーンズ・サーカスの飼育主任が象の調教師たちを、「マリファナを吸う時間が長すぎる」と叱り付けている様子を、映しています。サーカスは流れ者の労働者を雇う習慣があるため、児童虐待者、暴力犯罪者、その他不道徳な人間たちが集まりやすい体質を持った組織である場合が多いといわれています。 ここにその例をいくつか挙げます。過去に悪質な強盗と薬物所持で有罪判決を受けている、リングリング・サーカスのある従業員が、シカゴ近郊で女性に金を要求してナイフを突きつけ、逮捕されました。 リングリング・サーカスの元動物飼育担当副主任であるガンター ギーベル ウィリアムズは、虎に対して使用していた鞭で警察官を脅し治安をおびやかした罪で、セントルイスで逮捕され告発されました。 リングリング・サーカスのある調教師は、3年以上も警察の手を逃れた末に、強盗の罪で逮捕されました。以前、その調教師は薬物の不法売買、武器の不法所持、悪質な強盗、それに誘拐で、6年間刑務所に服役しています。 やはりリングリング・サーカスのある従業員は、殺人の有罪判決を受けて7年間服役した後の仮釈放期間中に、酒屋への2件の不法侵入に関係して逮捕されました。 クライドビーティーコールブラザーズ・サーカスのあるピエロは、性的虐待、および子供の福祉を脅かす行為で有罪とされました。 リングリング・サーカスのある従業員は、馬の調教師を刺して、暴行の罪で逮捕、告発されました。 シュライン・サーカスのある道化師は、サーカスで出会った6歳、7歳、10歳の3人の少女たちへの性的暴行の罪で告発されました。 連邦当局に執行猶予違反の罪で指名手配されていた、ホーソーン・コーポレーションのあるサーカス従業員は、殺人未遂、悪質な暴行、および同僚を刺した傷害の罪で、告発されました。 テキサスでは、元サーカスで働いていた男が、2人の少女の殺害と、別の少女の喉に切りつけた罪で、逮捕されました。 リングリング・サーカスのある道化師は、少女と大人との性的行為を描いた児童ポルノを所持していた容疑により、逮捕されました。 ウィスコンシン州シーダーバーグ市当局は、リーベルファミリー・サーカスの上演許可を取り消しました。そのサーカスのオーナーが、経歴チェックのために従業員リストを提出するという市の条例に従うことを拒んだからです。 シュライン・サーカスと共にネブラスカ州のオマハに行っていた臨時雇いの男は、女性を殴り殺した第2級殺人の罪で、有罪判決を受けました。動物にも子供たちにもやさしいサーカスシルク・ドゥ・ソレイユのような動物を使わないサーカスの数は増加しており、いかなる動物も苦しめることなく、素晴らしいアクロバットや愉快なピエロ、卓越したジャグラーの芸などを、家族そろって安心して楽しむことができます。「娯楽に使用される動物たち」へ戻るクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 Next Articleホイッスルブローワー(内部告発)募集!動物の内情お寄せ下さい 2010/10/15