レンコンの生産量日本一の茨城県。茨城県の霞ヶ浦周辺はレンコンの一大産地となっており、11月現在、もう収穫が始まっています。湖岸付近はあたり一面に圧倒されるほどのレンコン田(蓮田、ハス田)が続いています。そのレンコン田の間を歩いていると残酷な光景に出くわします。特に11月に入り、水鳥の飛来シーズンを迎え、冬にかけてレンコンの収穫が本格的になると、レンコン田を直視しがたくなります。レンコン田の天井に設置された防鳥ネットに、死んだ野鳥やまだ生きている野鳥があちこちにぶら下がるからです。鳥たちは逃れようともがき、もがけばもがくほどからまり、どうすることもできなくなります。2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 首が絡まり窒息死したバン鳥たちは次第に体力を消耗し、死に至りますが、それまでの時間は長く、絡まった翌日までまだもがいていることもあります。からまった水鳥はフクロウなどの猛禽類やカラスに生きたまま食べられてしまうこともあります。さらに捕食に来たその猛禽類やカラス自身が防鳥ネットにからまってしまうこともあります。オオバン(右)とオオタカ(左)。羅網したオオバンを捕食しようとしたオオタカも羅網したとみられる。2021年2月茨城県小美玉市羅網したフクロウの死体。このレンコン田では天井網が大部分外れていたが(ボロボロになって風に飛んだのか不明)、一部残っていた。そこにフクロウが羅網。2021年2月茨城県小美玉市いまはまだ11月で、ぶら下がっている鳥たちはこれでもまだ少ないのです。水鳥たちはレンコン収穫後の田を好みます。収穫後の田には、農家の人にとっては不要だけど、水鳥にとっては栄養満点のレンコンのひげ根やクキといった残渣がたくさん浮いているからです。水鳥が大好物の緑色の小さな浮草もたくさんあります。収穫後の田をみると、水鳥が群れで入って嬉しそうにレンコンの不要な残渣物や、水草、畔の昆虫などを食べている様子が見えます。しかしこういう収穫後の田に着水しようとするとき、また危険を感じて田から飛び立とうとするときに、天井に防鳥ネットがあれば、水鳥はそれに絡まり、身動きが取れなくなってしまいます。2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 からまったまままだ生きているバンこれからレンコンの収穫ピークを迎え、来年1月になり収穫済みの田だらけになってくると、毎年、茨城県のレンコン田は目を覆わんばかりの光景が広がります。日本野鳥の会(茨城県)の報告*によると、茨城県霞ケ浦・北浦では2カ月余りで多い時には2千羽にものぼる鳥類が死んでいることもあるそうです(レンコン田の所有者が死体をはずすこともあるので実際にはもっと多いと考えられます)。2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 すでに多くの水鳥がからまり死んでいる「レンコン被害を守るために仕方がないではないか」という人もいるかもしれません。しかしまず、そもそも問題視されるほど水鳥はレンコンを食べているのか、野鳥が絡まる天井型の防鳥ネット以外の方法(防鳥ネットを直に地面に置くなど)ではダメなのか、という問題があります。つぎに防鳥ネットを使うにしても「人道的な使い方」ができるにもかかわらず非人道的な使い方が実践されているという問題があります。水鳥によるレンコン被害、それほど大きいのか?前述したように、水鳥は収穫後の田を好みます。これは野鳥の会の調査*で「商品となるレンコンが埋まる未収穫田よりも、収穫後のレンコン田の防鳥網で死ぬ鳥類のほうが圧倒的に多い」ことから明らかです。ネットに絡まり死ぬ鳥が多いということは、その田に入る鳥が多いということを意味します。そもそも青青とした蓮で覆われて水面が見えないレンコン田や、収穫前の、蓮が枯れてとがった茎が宙に向かって伸びているレンコン田は水鳥が好んではいりたがるようなものではありません。鳥は目の良い生き物です。餌も目で認識します。水面が見え、そこに浮草がたくさん浮き、クズが散らばっている収穫済の田こそが水鳥にとって好ましいものでしょう。もちろん収穫前の田に水鳥が入ることがないわけではありません。またレンコンを収穫中の田に入ることもあります。しかしここで水鳥が泥に埋まった好んでレンコンを好んで食べるのかという疑問が出てきます。レンコンを食べようとすると水中の泥に潜らなければなりませんが、水鳥は基本的に水面採餌(水面に浮かんだ餌を食べる)を好みます(野鳥の会の調査*では、マガモの場合、潜って餌を食べる倒立採餌行動は、採餌行動全体の1.3%にすぎなかったそうです)。潜るにしても水鳥はそこまで深く潜れるわけではありません(マガモの場合20㎝程度*)。水面にはより魅力的なレンコンの残渣物がたくさん浮いており大好きな浮草もあります。わざわざ好んで泥の中のレンコンをつつくことがあったとしてもマレではないでしょうか。水鳥の大好きな緑の浮草、レンコンの吸収根がたくさん浮いたレンコン田追記:一方で現場の生産者らは野鳥による被害があることを訴えていることから、被害はゼロではないと考えられます。ただしそれがどの程度なのかまとまったデータはありません。レンコン田に野鳥が入って何かしている姿(浮草を食べている姿など)をみて、野鳥によるレンコンの被害を大げさに捉えすぎている可能性もあります。レンコンを損傷させるのは水鳥だけではありません。タニシ、カメ、ザリガニ、病気、人(レンコン田を歩いていて傷つけてしまう)も損傷の要因です。天井型防鳥ネットの効果が明確ではないまず前提として、「野鳥の侵入を阻む」という目的で天井に防鳥ネットがかけられているレンコン田にも、水鳥は入っています。周囲は空いているからです。防鳥ネットはほとんどが周囲(サイド)が無い天井のみのネットです。まれに天井ネット、プラス周囲にもネットを設置してあるレンコン田もあります。しかしそのレンコン田にも水鳥が入り、天井のあちこちから死体がぶら下がっている状況です。次に天井型防鳥ネットはレンコン被害を軽減させることが目的ですが、目的を果たせているのか明確になっていません。茨城県のレンコン生産を拡大することを目的として防鳥網が使用され始めたのは2003年。2002年から3カ年度にわたって実施された県の「重点園芸品目グレードアップ事業」で鳥害の防除対策が事業対象となったことがはじまりでした。当該事業の結果報告書は「防鳥網に効果がある」と結んでいますが、それを裏付けるデータはみつかりません。2016年に茨城県が茨城大学に委託して行った調査では、防鳥ネットのないある一つのレンコン田のうちの2アールを調査して(一つの田は通常10アール)、カモによる食害が全収量の3.5%だとの結果を出しています。しかし野鳥の会によると、「カモの食痕が見つかったのはそもそも商品にはならない(価値がない)小さなレンコンであり、一部は収穫前にすでに太陽光に当たって変色したレンコンまで含めていること、また商品になったとして、店頭価格で過大に見積もっても、その総額は1万円程度に過ぎない」ということです*。調査報告書は、「これらの食害レンコンについて中央農研の鳥獣害専門家による鑑定の結果,「カモなどの鳥害による被害の可能性が十分考えられる。カモ類などのくちばしの形状などを考慮しても一つのレンコンを集中的についばみ,大きな食害跡をのこしたことが考えられる。」と書いていますが、水鳥が実際に泥の中のレンコンをどんなふうに食べているのか、見たことがある人は誰もいません。この調査はまた、天井型防鳥ネット有無での違いの調査ではないため、比較ができない、そしてサンプル数が少ないという問題があります。2017年10月-2018年1月に行われた調査(茨城県が茨城大学に委託して行った調査)では天井と周囲を防鳥ネットで覆った完全閉鎖型のレンコン田と防鳥ネット無しのレンコン田の比較が行われています。完全閉鎖型のレンコン田のほうは野鳥の飛来数が17羽、防鳥ネット無しのほうは80羽という結果でした。ここでも、完全閉鎖型であっても野鳥が飛来していることがわかります。またレンコンの被害割合についても比較が行われています(こちらも10アールのうちの2アールのみ)。この調査によると完全閉鎖型防鳥網では被害がゼロ、防鳥ネットなしでは3.6%の被害という結果になっています。しかし現状、茨城県のレンコン田には完全閉鎖型防鳥ネットはほとんどなく、天井のみの防鳥ネットです。その天井型防鳥ネット(四方がないタイプ)での比較は行われていません。2019年に作成された土浦市・かすみがうら市鳥獣被害防止計画では、2018年度のカルガモによるレンコン被害総額が104,392,000円、バン・オオバンによる被害総額も104,392,000円だとし、「防鳥ネットについて、被害状況等を把握した上で、整備検討する。」としています。しかしこの被害額は個々の生産者が調査票に書き込んだものを行政が集計しているだけで、上述した何が原因のレンコン損傷なのかも個々の生産者が判断しています。判断基準が個々の生産者にゆだねられており一定していない数値にどれだけ信憑性があるのかは疑問です。さらにこの被害額は天井型防鳥ネットの有無での算出がされていません。したがってこの被害額の大きさが、「天井型防鳥ネットが必要」であるという根拠にはなりません。防鳥ネットを設置するにしても、人道的な方法や天井網以外の方法が可能。にもかかわらず非人道的な方法が継続されている収穫後もかけっぱなし。前述したように、レンコン未収穫田よりも、収穫後のレンコン田のほうが天井型防鳥ネットにからまり死ぬ鳥が圧倒的に多いのです。収穫後は天井型防鳥ネットを取り除けばからまる鳥が減ります。さらに、収穫済の田の網を取り払うことで、未収穫田の鳥を収穫済の田に誘引できる可能性があります*。にもかかわらずはったまま(天井型防鳥ネットを使用する農家の多くは年中かけっぱなし)です。取り外し・取り付ける作業に手間がかかるというのがその大きな理由です。しかしそれは毎年多くの鳥が絡まり、長時間かけて苦しんで死ぬことを正当化できる理由とは思えません。収穫を終えれば天井の防鳥ネットを外す農家さんもいるからです。2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 もがくことでさらに絡まる。違法なカスミ網と作用は同じ2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田同じ防鳥ネットでも直置き、周囲のみという方法がある水鳥をからめる天井型の防鳥ネットではなく、蓮のうえに直接置く「直置き」でも鳥がレンコン田に入ってくることを防ぐことができます。そのやり方だと鳥はネットにからまらずに済みます。佐賀県白石町では野鳥の会の提言により2018年末からこの「直置き」に変更になっています(2019年1月日本野鳥の会茨城県号外)。さらに天井のネットを取っ払い、レンコン田の四方だけを覆う防鳥ネットでも鳥が入ってくることを軽減できることが分かっています。茨城県でも地域によって天井型の防鳥ネットではなく直置きを採用しているレンコン田があるものの、天井型防鳥ネットが広範囲で見られます。(2021.2.14追記周囲網のみ効果についてはサンプル数が少ないため、削除いたしました。)茨城県で直置き網が使われているレンコン田について、詳細はコチラをご覧ください。ダルダルの網天井網をたるみなくかけることで絡まる鳥を減らすことができます(減るだけです。たるみの少ない天井網にも死体はぶら下がっています)。ピンと張っている網であれば、そこに当たった鳥は跳ね返るからです。しかし茨城県のレンコン田ではゆるくかけてあるため、カスミ網のように鳥はからまり、逃れようとしてさらに身動きできなくなります。茨城県のこのようなゆるい防鳥ネットは、鳥獣保護法が禁止している「カスミ網」と同じ作用を鳥にもたらしています。2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田天井網にからまり鳥がもがいていても放置収穫作業中なので助けることができない。早く収穫しないと泥から上げたレンコンが乾いて悪くなる鳥がぶら下がっている場所まで収穫がすすんだら天井網から外す。まだ掘っていないところまでいってしまうとレンコンが傷ついてしまう未収穫の田に入るとレンコンがだめになってしまういずれも天井網にからまりもがいている鳥を助けてほしい、もしくは自分で入って助けたいと、収穫作業をしている人にお願いした時の答えです。自分の作り上げたものを丁寧に収穫したいという気持ちは当然です。傷ついたレンコンは売り物になりません。しかし天井から宙づりになった鳥は一分一秒を争います。宙づりになった時間が長ければ長いほど衰弱が進み、逃れようともがき続けて足や羽を痛め骨折するからです。空を飛ばなければならない鳥の骨は軽量化されており、骨が折れやすい傾向があります。骨折してしまうとネットから外してももう自然界で生き残ることはできません。「バンは外そうとすると突くので死ぬまで待つしかない」そのような考えの生産者の人たちもいました。カモと違ってバンのクチバシはとがっています。突かれるのはたしかに痛いでしょう。でも野鳥が人を警戒するのは当然です。しかも絡み取られて自分は動けないのです。必死で嘴で抵抗することしかできません。レンコンをダメにするか、鳥を見殺しにするか、その二択しかないような管理方法はもう放棄すべきではないでしょうか。持続可能なレンコン田とは―生き物との共存「水鳥がレンコンを食べる」と、高価な防鳥ネットをお守りのようにかけ続け、水鳥を排除することは賢いやり方なのでしょうか。レンコン田に生息するタニシやザリガニやカメもレンコンを食害します。タニシが増えすぎると薬で駆除が行われます。しかし水鳥はそのタニシや、ザリガニを捕食します。レンコン田にたくさん浮く水草も多すぎると水温が下がってしまうため農家の人はそれを除去します。水草は成長が早く次々と増えて厄介なものですが、その水草も水鳥の大好物で食べてくれます。レンコン田を埋め尽くした水草2021年7月茨城県天井網はレンコンを食べないサギもからめて殺します。フクロウなどの猛禽類やカラスも無差別にからめとり殺害します。このようなやり方しかないのでしょうか?水鳥が自分の田に入ることに神経質になって追い出すのではなく共存することもできるのではないでしょうか?現に茨城県でも天井型防鳥ネットを使用していない生産者もたくさんいます。それは霞ヶ浦で生きる動物たちとの共存が可能なことを示しています。2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 サギ茨城県の現行の防鳥ネットは国内法に抵触アニマルライツセンターは今の茨城県の防鳥ネットは、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)および動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)に違反しており、いずれの法律においても処罰対象になると考えています。鳥獣保護法第八条 鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。二 第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。三 第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。茨城県のレンコン田の防鳥ネットは、同条一、二、三いずれの例外規定にもあたりません。ですので第八条に違反します。捕獲しているのではなく入らないようにしているだけだ、という人がいるかもしれません。しかしそれは詭弁です。実際には鳥をからめとり傷つけ、殺すにいたっているからです。第八条でいう「捕獲等」は同法第二条七項において「捕獲又は殺傷」だと定められています。環境省が監修した「鳥獣保護法の解説(第五訂)」にも、捕獲など及び採取などの概念を次のように示しています。「捕獲等」とは、鳥獣を捕獲又は殺傷する行為をいう。「採取等」とは、鳥獣の卵を採取又は損傷する行為をいう。このように鳥獣を殺傷し、又は鳥類の卵を損傷する行為は、鳥獣の保護への影響という面では自己の支配内に入れようとする捕獲又は採取と差異が無いことから、これらの行為と同様に制限することとしている。罰則:第八条に違反すれば、第八十三条により、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられます。第十八条 鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をした者は、適切な処理が困難な場合又は生態系に影響を及ぼすおそれが軽微である場合として環境省令で定める場合を除き、当該捕獲等又は採取等をした場所に、当該鳥獣又は鳥類の卵を放置してはならない。茨城県霞ケ浦のレンコン田では、前シーズンのレンコン栽培でからまった水鳥と思われる、腐敗を通り越してすでにカラカラになった死体がぶら下がったまま放置されている光景を見ることができます。茨城県のレンコン田のケースは、同条でいう環境省令(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則)で定める例外に該当していません。そのため第十八条に違反します。罰則:第十八条に違反すれば、第八十六条により、三十万円以下の罰金に処せられます。2020年8月中旬茨城県霞ケ浦レンコン田 長期間放置されている鳥2020年8月中旬茨城県霞ケ浦レンコン田 長期間放置されている鳥2020年8月中旬茨城県霞ケ浦レンコン田 長期間放置されている鳥動物愛護管理法第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの動物愛護管理法では罰則対象となる「愛護動物」に野生の鳥は含まれていません。しかし第四十四条四項二号において「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの」は対象となります。人が所有するレンコン田の天井にかけられた、人が所有する防鳥ネットにかかり身動きが取れなくなった動物は、その時点で「人の占有下」となります。ですので助けずにそのまま放置して死に至らしめたり羽や足を骨折に至らしめることは「五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金」にあたる可能性があります。その日仕事が休みで、鳥が絡まり動けなくなり自分の占有下にあったことを知らないということは問題にはなりません。天井網を設置している生産者は野鳥が絡まり傷つき、死に至るという事実を認識したうえで網を設置しています。犯罪を構成する要件としては、それが「故意」であることが必要ですが、「水鳥がかかって足や羽を骨折して死に至るかもしれないがそれでもいい」というのは未必の「故意」であり、犯罪の構成要件を満たします。同条第二項にも抵触する可能性があります。自己の保管する愛護動物が負傷しているのに適切な保護が行われていないからです。この場合、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられます。署名、茨城県にご意見をレンコン田を見渡せる霞ヶ浦沿いの土手を、車がよく通ります。時々車が止まり、乗っている人がじっとレンコン田を見ていることがあります、中には車から降りてくる人もいます。天井から宙づりになってもがいている鳥を目にしたからです。その人たちは心配そうにレンコン田を見つめています。同じ生き物が目の前で苦しんでいて心が痛まない人はいません。アニマルライツセンターも現地でぶら下がってもがいているバンやカモを何度も見ました。農道や畔から届かないところにぶら下がっている水鳥を助けるためには他人のレンコン田に入らなければなりません。ネットに深く絡まっている水鳥を外そうと思えば防鳥ネットを切る必要もあります。しかしその許可を得ようにもレンコン田の持ち主はほとんどの場合そこにはいません。近隣で作業をしている人にその田の持ち主と連絡を取りたいと言っても「答えられない」と言われます。警察に来てもらい、法律に抵触する旨を伝え、持ち主を探すべく近辺で聞き込みをしてもらったこともありましたが、結局判明せず、苦しんでいる鳥を何度も見捨てました。田の持ち主がいて、外してほしいと言えば、しぶしぶではあっても外してくれます。茨城県は絡まっている鳥が入れば速やかに外すようにという方針を示していますし、動物保護団体がやってきて外してほしいと言っているのに外さなければ問題になるという思いもあるのでしょう。しかし茨城県のすべてのレンコン田を監視し続けることはできません。誰も何も言わなければ生産者は作業を中断し、売り物のレンコンを傷つけてまで水鳥を助けようとはしないでしょう。クチバシのとがったバンであれば突かれるという理由で死ぬまで放置されるでしょう。生産者を悪人だと言っているわけではありません。苦しんでいる動物を見てかわいそうだと感じる気持ちは私たちであれ生産者であれ、ほとんどの人に共通するものです。他の対策方法があるにもかかわらず、誰もが持っている思いやりの気持ちを抑えなければならない管理手法を続けることが間違っていると言っているだけです。この茨城県のレンコン田の野鳥問題に、19年も取り組んできた野鳥の会の働きかけもあり、天井型防鳥ネットを使用するレンコン田は減ってきています。それでもまだ1/3ほどのレンコン田で天井網がかけられている状況です。これから正月用に、年末までにレンコン収穫はピークを迎えます。そのあと収穫後にもかけっぱなしになった天井網に、例年どおりであればたくさんの野鳥がぶら下がります。このような残酷な光景を阻止するために、アニマルライツセンターは市長、行政、茨城県産レンコンを扱う小売店、レンコン生産者組合への働きかけを行います。署名ぜひご賛同下さい。署名)茨城県のレンコン 非人道的な管理方法をやめて野鳥との共存を。署名提出・進捗状況茨城県にご意見を茨城県に、残酷に作られたレンコンを食べたくない、人道的な管理方法に切り替えてほしいと皆さんからも声を届けてみてください。茨城県 ご提案・ご意見2020年12月の調査についてはこちらをご覧ください*レンコン栽培と野鳥の共存を図る防鳥対策の提案 池野進 日本野鳥の会茨城県 20202020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 何重にもからみついた防鳥ネット2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 ここでどれだけもがき苦しんだだろうか2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田 20年近くこれが続いている2020年11月初旬茨城県霞ケ浦レンコン田クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleケージとストール廃止を求め農水委員会で質問「大臣、このままで畜産農業大丈夫でしょうか」 Next Article今こそ毛皮はゼロへ 2020/11/14