アニマルライツセンター・アドバイザー 細川幸一(日本女子大学名誉教授)
2月下旬に韓国第二の都市釜山に行きましたので、市内の卵売り場をみてきました。
韓国の動物福祉卵には下記のマークがパッケージにあります。

動物福祉(ANIMAL WELFARE)
農林水産部
韓国では、アニマルウェルフェアの観点から以下の4つのランクに分けられています。
1:放し飼い
2:舎内で自由に飼育
3:改良されたケージ飼い
4:通常のケージ飼い

パッケージの表示例
写真では見にくいですが、右下、HACCPマークの左に1から4番の説明表があり、その下にこの卵は2番であることが書かれています。
卵の殻には印字があります。下記の写真では「0203 PRC262」と読めます。最初の4桁は産卵日2月3日を示しています。そのあとは生産者固有番号で、最後の数字がこの区分にあたります。
この卵は2番の動物福祉卵です。

卵の印字例

卵の動物福祉レベルの内容(https://lazytrees.com/346/より)
まず見たのは、韓国内に数多くあるスーパーHomeplusの卵売り場。約20種類の卵が置かれていましたが、「動物福祉卵」はその3割ほどでした。
この店で確認できた「動物福祉卵」はすべて2番「舎内で自由に飼育」でした。価格は15個(780グラム)で9490ウオン、940円ほどでしたので一個あたり60円ほどでした。何ら表示のない普通の卵は30個で7990ウオン、790円ほどで売られており、一個あたり27円ほどになります。パッケージされた個数が違うので単純比較はできませんが、およそ2倍の価格ということでしょうか。

スーパーHomeplus

Homeplusの卵売り場
老舗デパートである「新世界」のフードマーケットの中の卵売り場にも行ってみました。
オーガニックを売り物にしている高級店でした。20種類ほどの卵がありましたが、ほとんどが「動物福祉卵」で、目にしたのは1番と2番でしたが1番が多くある印象でした。1番で10個入り(350グラム)が12800ウオン、約1280円でしたので、一個128円と高額でした。2番で15個(780グラム)9000ウオン、約900円のものもあり、こちらは一個60円となります。

老舗デパート新世界のフードマーケット

新世界フードマーケットの卵売り場
なお、「動物福祉卵」ではない卵は殻の印字は4番ですが、私が見た限りではパッケージにはその旨の表示はないようでした。法律上の義務付けは殻の印字だけなのかもしれません。
コンビニで燻製卵を買いました。2個で3000ウオン、約300円なので一個150円となりますが、パッケージには何も表示がなく、卵の殻の番号は4番でした。また何も表示のない卵の場合もありました。加工された卵の場合は表示義務はないのかもしれません。またレストランでの卵料理については何も表示がないのが普通のようです。また機会があれば調べてみたいと思います。
釜山在住の知人に聞いてみました。「動物福祉卵」は最近スーパーなどでもよく見られるようになっており、個人的な感覚では、30~40パーセントはあるのではないかということでした。価格については、1.5~2倍位だろうとのことでした。私が実際に見た感覚と同じです。
生の卵の販売に関しては、隣国韓国では動物福祉卵の表示基準がしっかり定められており、卵売り場でもその割合は高いと感じました。日本での進展が期待されます。