水産養殖では野生の魚類を保護できない理由

Why aquaculture may not conserve wild fish

Stefano B Longo, Richard York

2024/10/18

https://doi.org/10.1126/sciadv.ado3269

論文概要

 

本稿では、「置き換えのパラドックス displacement paradox」と「ジェヴォンズのパラドックス Jevons paradox」に関する文献をレビューし、水産養殖が野生の魚介類に及ぼす潜在的な影響について考える。ジェヴォンズのパラドックスとは、ある資源を利用する効率が向上すると、それに対する消費の増加をもたらし、結果として資源の保全が損なわれる状況のことである。置き換えのパラドックスとは、ある資源の代替品(例:養殖魚)の利用が増加しても、もう一方の資源(例:天然魚)の消費がそれに比例して減少しない状況を指す。

置き換えのパラドックスやジェヴォンズのパラドックスに関するこれまでの研究によれば、水産養殖の増加は魚介類を保全するうえで望ましくない予期せぬ結果をもたらす可能性がある。このような技術的パラドックスが発生する傾向を理解するため、ここでは商品の悲劇にもとづいた理論的説明を提示し、漁業と養殖システムに対する懸念との関連性を明らかにする。

 

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