隠れ場所を設けることによる、家畜の福祉向上

論文概要

 

この文献レビューによると、家畜に隠れ場所を与えることで、家畜はより幸せで、健康で、社交的になることが多い。

多くの動物は、出産や産卵、他の動物や自然環境から身を隠すために、自然界の隠れ場所を自然に利用する。しかし、現代の集約型畜産農場では、檻や囲いはしばしば殺風景である。この論文の著者らは、隠れ場所を提供することが、家畜の福祉向上に役立つかどうかを調査している。

論文の著者らは、北米で一般的に飼育されている家畜に対する隠れ場所、いわゆる「隠れ家」の利用に関する、1976年から2021年の間に発表された151件の研究の調査を行った。彼らの目的は、どの種に最も一般的に隠れ家が提供されているか、なぜ隠れ家が与えられるのか(例えば、産卵場所として、あるいは一般的な環境エンリッチメントのためなど)、そして隠れ場所が動物の福祉にどのような影響を与えるかを理解することであった。

論文の大部分はニワトリ(49%)を対象としており、そのうち85%は採卵鶏、残りの15%はいわゆる「ブロイラー」鶏に焦点を当てていた。その他、主に研究対象となった動物には、牛、キツネ、魚類などがあった。論文の56%では、隠れ場所を出産や産卵の場所として研究しており、隠れ場所を一般的な環境エンリッチメントの観点から検討していた。その他の論文では、隠れ場所を新生児、病気、または負傷した動物のための場所として評価していた。

動物の福祉に対する隠れ場所の影響を評価するにあたって、研究では主に、動物が隠れ場所を利用したかどうか、隠れ場所を利用した際に身体的に健康になったり生産性が向上したりする傾向があるかどうか、そして動物の感情状態がどう変化したかの記録を行っていた。このようにして、隠れ場所が動物の福祉にプラス、マイナス、または中間的な影響を与えたかどうか測定していた。一般に、隠れ場所を提供することで、動物の感情体験、健康、社会生活、生産性を向上させるようだった。一方、隠れ場所が動物の福祉にマイナスの影響を与えているように見える場合、それは多くの場合、動物同士が隠れ場所を巡って争うことが原因であった。

これらの論文は、興味深い種ごとの知見も示している。例えば、(ほとんどの)ニワトリ、ウズラ、アヒルは巣箱に安心感を覚え、しばしばそこで産卵を行った。隠れ場所を与えられると、多くのウズラは互いに仲良くなり、より精神的に安定したヒナを育てた。シカ、ウシ、ヒツジも、特に怪我や病気の際には、出産前、出産中、出産後に隠れ場所を利用する傾向があった。ヤギとブタは、隠れ場所を与えられると、同居する仲間とより仲良くなった。

キツネは隠れ場所を与えられると身体的に健康になり、子育てもより活発になる傾向が見られ、ミンクは人間に対する恐怖心が薄れることが多かった。同様に、魚類も飼育施設に隠れ場所があると、一般的に人懐っこくなり、身体的に健康になり、ストレスも軽減されるようだった。ウサギも人目につかない巣作り場所や隠れ場所があると恩恵を受けるようだったが、ウサギに関する研究は限られている。

概して、今回の研究結果は、農場で飼育されている動物に隠れ場所を提供することで、動物の社会性、快適性、健康、情緒安定性を高め、ストレスによる生理的症状を軽減できることを示唆している。そのため、隠れ場所は、動物擁護活動家が農場環境の質を改善しようとする際に注目すべき重要な環境エンリッチメント要素であると言えるだろう。農場は動物が自然界で経験することを完全に再現することは決してできないし、もちろん最終的な目標は畜産業そのものをなくすことだが、隠れ場所を提供することは、動物の尊厳を守り、自然な行動をある程度許容する一つの方法である。

※本記事はこの記事の最下部にある論文のFaunalyticsのリサーチャーによる要約を、同団体の許可を得て翻訳したものです。

 

原文タイトル:The impact of providing hiding spaces to farmed animals: A scoping review

論文著者:Spitzer, H. B., Meagher, R. K., & Proudfoot, K. L.

公開日: 2022/11/28 

論文URL:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0277665

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