アニマル・コンピュータ・インタラクション 精密畜産と人工知能による動物福祉の向上

Human-computer interactions with farm animals—enhancing welfare through precision livestock farming and artificial intelligence

Suresh Neethirajan, Stacey Scott, Clara Mancini, Xavier Boivin, Elizabeth Strand

2024/11/14

https://doi.org/10.3389/fvets.2024.1490851

論文概要

 

ユーザー中心設計のアプローチは、ヒューマン・コンピュータ・インタラクションhuman-computer interaction (HCI) から生まれたもので、コンパニオンアニマルやサービスアニマル、動物園における動物の福祉を大きく改善したが、畜産動物への応用はあまり進んでいない。

アニマル・コンピュータ・インタラクション animal-computer interaction (ACI) は、こうした状況に触発されて出現しつつある領域で、技術の適用範囲を動物と人間を含む多様な生物種に拡張することを目指すものである。コンパニオンアニマルをはじめ他の領域では大きな進歩を遂げているにもかかわらず、畜産動物の福祉におけるHCIとACI(総称してHACI)の応用は遅れており、特に乳牛や豚、鶏に関しては進んでいない。

本稿では、精密畜産におけるHACIと人工知能が動物福祉を個体レベルで向上させることができるか、またこうした状況に特有の課題に対応できるか、その可能性について探る。さらに、生産性重視の農法から動物を中心に据えた農法への転換が必要であり、動物福祉が持続可能な農法に不可分であることを強調し、これがひとつのパラダイムシフトであることを提唱する。

論考では「ワンウェルフェア One Welfare」のアプローチに基づき、動物を中心においた技術の導入は畜産動物の健康と生産性、総合的な幸福度にとって利益があるだけでなく、農家が直面する重圧を考慮すれば、より広い意味で社会や環境、経済における利益にも合致していることを強調する。ここに示す視点は、2024年6月24日に開催された、畜産動物福祉のためのHACI技術の進展に関する1日ワークショップの知見に基づくものである。

 

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