動物園のアニマルウェルフェアにおける人工知能の可能性

Artificial Intelligence's Potential in Zoo Animal Welfare

Matyas Liptovszky, Emily Polla

2025/07/14

https://doi.org/10.1002/zoo.70008

論文概要

 

動物園や水族館では、アニマルウェルフェアの状況を詳細かつ客観的に規則正しく評価することが不可欠の急務となっている。しかし、ウェルフェアを評価する従来の方法では、動物園や水族館で飼育される動物種や個体数の規模に合わせて拡大するのが困難である。人工知能(AI)を活用した自動化は、こうした課題への解決策となり得る。

この総説では、当該領域における最近の進展を概観し、特に動物園と水族館におけるアニマルウェルフェアに関する研究に焦点を当てる。動物の行動とウェルフェアのモニタリングにおける AIの活用は、特に畜産動物に関しては、近年ますます一般的なものとなりつつある。

最近の研究では、AIを活用して鶏や豚、羊、牛などの動物行動を識別・評価する可能性について検証されており、具体的には牛の発情期の予測、動物の鳴き声の分類、(牛や羊における歩行障害の初期症状など)アニマルウェルフェアに関わる問題の検出などが挙げられる。コンパニオンアニマルでは、顔認識や鳴き声による感情認識、行動のモニタリングなどでAIが利用されている。実験動物についても、2000年以降は行動モニタリングにAIツールを活用する事例が急速に増加している。

AIは動物園でもますます広く利用されており、例えば動物の個体を識別することや、エンクロージャー内での移動の様子のモニタリング、環境エンリッチメントが使われた時間を計測して行動を定量化することなどが挙げられる。

アニマルウェルフェアにおける AI利用の急拡大は、動物の管理やウェルフェアを増進するうえで大きな可能性があることを示しており、このためには動物園や水族館でのモニタリングや予測の精度をより効率的に改善することが重要となる。

 

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