肉に対する精肉店・デリカテッセン従業員の心理的適応

Butchers’ and deli workers’ psychological adaptation to meat.

Jared Piazza, Gordon Hodson, Alexandra Oakley

2020/03/19

https://doi.org/10.1037/emo0000738

論文概要

 

食肉生産の初期段階において、肉はもとの動物の姿に近い状態であるが、多くの現代社会において一般消費者はこのようなプロセスから遠ざけられている。本研究では、食肉の取り扱いを繰り返すことによる感情および心理面での影響を調べた。商業的に食肉を扱った経験のある56人(精肉店・デリカテッセンの従業員)と、そうした経験のない103人と比較した。参加者には、牛・羊・魚の3種類の動物の肉の画像を提示し、これらの肉の画像には、もとの動物の姿を様々な程度でとどめているように変化を付けた。参加者は、これらの画像に対して感じた嫌悪感・動物への共感・肉と動物との連想関係を7段階のスケールで評定した。より広い意味での食肉や動物に関する信念や考え方についても評価した。

データ解析では線形混合効果モデルを用いて、食肉を取り扱った時間が食肉への心理的適応に与える影響を検討した。結果では、すべての種類の食肉について、食肉を扱ってから1~2年以内に嫌悪感・共感・食肉と動物の連想性がいずれも有意に低下することがわかった。また、参加者の性別・年齢に関わらず、食肉を扱った時間の長さによって、食肉の消費と生産を支持し正当化する傾向を予測できた。これらの知見は、動物の身体部位を扱うような強い嫌悪感を引き起こす状況に対して人々がどう適応するのか、その過程について示唆を与えるものである。

 

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