SDGs経過レポートからわかる、日本が今年やるべきことはAWという結論

今年2026年は、SDGsの達成目標年である2030年まで、あと残り4年あまりしかありませんが、その達成状況はどうなのでしょうか。2025年6月に、SDSN(Sustainable Development Solutions Network)が公表した「Sustainable Development Report 2025」によると、日本のSDG達成度は167か国中19位でした。本レポートは、国家が経済的に豊かであるだけでは十分ではなく、その豊かさが環境や社会との調和の上に成り立っているかがどうかを評価する内容となっています。短期的な利益が高くても、環境負荷や人権問題を抱えていれば長期的な企業価値は損なわれる可能性があるからです。同様に、国も経済的に豊かであるだけでは十分ではなく、その豊かさが環境や社会との調和の上に成り立っているかが問われる時代になっています。

SDSN2025レポートは各国の達成状況の評価を公開情報から抽出して列記したものですが、そのなかで日本について、評価の高い分野と低い分野を下記にまとめました

評価が高い分野主な根拠
SDG3 健康と福祉平均寿命84.7歳、新生児死亡率0.8人と世界最高水準
SDG4 質の高い教育PISAスコア532.7点、識字率ほぼ100%
SDG9 産業・技術革新研究開発費GDP比3.4%、特許出願数が世界トップクラス
SDG16 平和と公正殺人発生率0.2人/10万人と極めて低い
SDG6 水と衛生安全な飲料水・衛生サービスがほぼ全国民に普及
改善が必要な分野主な根拠
SDG2 飢餓をゼロに持続可能な食料生産への転換の遅れ、人間栄養段階(HTL)の高さ
SDG5 ジェンダー平等女性国会議員比率15.7%、男女賃金格差22.0%
SDG12 つくる責任つかう責任輸入に伴う環境負荷が大きい
SDG13 気候変動対策CO₂排出量が多く、再生可能エネルギー比率が低い
SDG14 海の豊かさ乱獲・資源枯渇状態の魚種が60.9%
SDG15 陸の豊かさ輸入による森林破壊や生物多様性への影響

上記を見ると、日本が健康や教育、治安などの分野で高い成果を上げている一方で、食料システムや環境負荷の分野では依然として大きな課題を抱えていることがわかります。そして意外だったのは、SDG2「飢餓をゼロに」が依然として課題と評価されていたことです。

日本では食料不足による飢餓はほとんど見られません。コンビニやスーパーには常に商品が並び、食料供給は安定しています。そのため、多くの人は「日本はSDG2を達成している」と考えるのではないでしょうか。

ところが、SDGsにおける「飢餓をゼロに」は単に食料が足りているかどうかを問う目標ではありません。食料が持続可能な方法で生産されているかどうかこそが、重要な評価対象となっています。

今回の報告書では、日本の課題として「Human Trophic Level(人間栄養段階)」の高さが指摘されています。これは食生活における動物性食品の割合を示す指標です。肉や卵、乳製品などの消費が増えるほど、その生産に必要な飼料や土地、水資源も増加します。

また、日本の畜産は輸入飼料への依存度が高く、ブラジル産大豆や米国産トウモロコシなどを大量に利用しています。その結果、日本国内では見えにくいものの、生産地では森林破壊や生物多様性の損失に、日本が加担しているといえるのです。

この視点は、アニマルライツセンターが取り組んでいるアニマルウェルフェアの課題とも深く関わっています。現在の集約的な畜産システムは、動物福祉の問題だけでなく、飼料生産に伴う森林破壊や生物多様性の損失、温室効果ガスの排出など、さまざまな環境問題とも結びついています。

近年、世界ではアニマルウェルフェアを持続可能な食料システムの重要な要素として位置づける動きが広がっています。企業や投資家も、畜産動物の飼育環境をESGやサステナビリティの課題として捉えるようになってきました。日本でもケージフリー卵やストールフリー豚肉への取り組みが進み始めていますが、国際的な水準と比べると、まだ大きな改善の余地があるのはご存じのとおりです。

SDGs達成まで残り5年たらずとなった今、私たちは「十分な食料を確保すること」だけでなく、「どのように生産された食料を選ぶのか」という視点を持つ必要があります。今回の報告書は、アニマルウェルフェアの向上が動物のためだけではなく、環境保全や持続可能な食料システムの実現にもつながることを改めて示しています。

SDGsの観点から見ると、畜産動物の福祉向上は、もはや倫理の問題ではありません。環境、生物多様性、食料システムの持続可能性とも深く関係する課題、つまり人間の重要課題なのです。私たちは「飢餓がない国だから大丈夫」と考えるのではなく、「どのような方法で食料が生産されているのか」という視点からSDGsを捉え直す必要があります。2030年まで時間がありません。SDG達成の重要なピースであるアニマルウェルフェアを進める、アニマルライツセンターの活動を支援してください。

※SDSNとは

SDSN(Sustainable Development Solutions Network:持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)は、2012年に国連事務総長の呼びかけによって設立された国際的な研究・政策ネットワークです。世界中の大学、研究機関、専門家が参加し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた政策提言や評価を行っています。機関は持続可能な開発を環境問題だけでなく、経済、社会、ガバナンスを含めた総合的な課題として捉えています。そのため、「Sustainable Development Report」ではGDP成長率や所得といった経済指標だけでなく、健康、教育、ジェンダー平等、気候変動、生物多様性などの非財務的な要素も評価対象としています。

SDSNは2015年に国連でSDGsが採択されて以降、毎年「Sustainable Development Report」を公表し、各国のSDGs達成状況を分析してきました。この報告書は、SDGsの進捗を客観的なデータに基づいて比較・評価する代表的なレポートの一つとして、政府、企業、研究機関、市民