犬吠埼マリンパーク(閉館)で狭い小さなプールという名の檻に監禁され続けたイルカのハニーが3月29日に閉塞性腸炎で死んだとメディア向けにリリースされた*1。パートナー団体のPEACEが確認したところ、最後の保健所立ち入りは3月18日、その後運営企業からの公表を待つようにとだけ言われていたという。ちょうどその発表が出たという前日、アニマルライツセンタースタッフが見に行っていた。昨日のレポート2020年4月2日16時。道路から犬吠埼マリンパークをみると、プールの脇で数十頭のペンギンに給餌している飼育員の姿が見えた。塗装が剥げ、あちこち破れてボロボロの垂れ幕に囲まれた狭いプールの中には、カモが一羽いるだけでイルカの姿はみえなかった。一部死角になっている部分もあり、そこに隠れているのかとも思ったが水の揺らぎはカモによる動きだけだった。水中にもぐっている可能性もあった。飼育員にイルカはどこにいるのか聞くと「水中にもぐってるのではないか」という答えだったが、水中にもぐるには水位が浅すぎるように見えた。偶然居合わせた新聞記者は少し前からイルカの姿が見えないと言っていた。 嫌な予感がした。しばらく見ていたが、イルカがいる気配はなく、死んだのではないかと思いながら犬吠埼マリンパークをあとにした。生きていて欲しいという気持ちと、死んでいて欲しいという気持ちが半々だった。苦しいだけの一生を終わらせたくないとも思う一方、あのような苦しい環境で生きるしかないのならこれ以上苦しみを長引かせたくないとも思った。ハニーを虐待し殺したのは水族館という商売のシステムしかし、その翌日の今日、死亡が発表された。飼育員の男は嘘をついたのだ。ハニーは2005年に和歌山県太地で拉致され、犬吠埼マリンパークに連れてこられた。捕獲される前に妊娠していた男の子をマリンパークの小さな檻の中で産み、そしてその我が子がやはり同じ檻で死に、ショーという強制的な使役をさせられ、最後の仲間が2017年に死に、その後ずっと一人ぼっちだった。ようやく苦しく絶望的で、逃げ場のない虐待から、解放された。死によって。この悲劇を生み出したのは、倫理観なく生き物を金に変えたいとする水族館関係者と、そしてその水族館に金を払うすべての人々だ。これからも同じことが、別のイルカ、別の水生動物たちのみに起こり続ける。水族館が好きだという人に伝えたい、あなたが見ているのは奴隷であると。あなたの楽しみたい、見てみたい、そんな欲望のために犠牲になった奴隷だと。*1 http://www.chibanippo.co.jp/news/local/681072 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article現状を知ってからものの1週間でケージフリーに切り替えた旅館『旅の宿 斉川』 Next Article餓死させることは究極の動物虐待、畜産にはびこる餓死による虐待に抗議 2020/04/03