サンクチュアリの豚たちは、家畜保健衛生所の情報によると4歳でやってきた。なので、現在はおおよそ5歳だ。まだまだ若いのだが、やってきてから半年間、発情期は来ていなかった。男子は生まれてすぐに無麻酔で去勢手術をされているので発情しないが、女子はそうではない。女子の発情は激しく、そのために柵を頑丈につくったという経緯もある。でも、まったく激しい時期は訪れないため、そうでもないなーなんて油断していた。人間で言えばホルモンバランスが崩れて生理が止まったと言った状態だろうか。11月の朝、少し大人しくなって何かを訴えてくるそらちゃん。つらそうに見えたため、慰めるように撫で、抱きしめていると、あれ・・・?興奮してきた!ぶっぶっぶっぶとリズミカルに声を出し、柵に体を乗り上げて、ぐいぐいぶんぶんくる。サンクチュアリにやってきてちょうど半年のその日、そらの発情が始まった。その2日後、ひかりの発情も始まり、さらにその2日後に友の発情が始まった。スタッフを追い回し、じっと見つめ、体を乗り出し、興奮して手が付けられないかと思いきや、ぼーっとしてつらそうな目をして訴えてくる。このときから、21日周期ほぼぴったりで発情が来るようになった。人間を追い回すだけなら良かったのだが、そらはパートナーの風太にいらいらをぶつけるため、そらの発情中は風太がけがをすることもでてきた。ひかりは、いらいらを誰にもぶつけずにボール遊びに興じている。みんなのアドバイスで、食欲で気をそらすことが効くことがわかり、にんじん探しゲームに教示させたりしている。さて、この発情、工場畜産ではわかりにくくなることが課題になっている。理由は、品種改変と、環境の乏しさ、人工的なホルモン管理・人工授精の影響、遺伝的多様性の低下、飼料の影響、繁殖サイクルの短縮などが挙げられる。だが、3人のはっきりした発情期を考えると、遺伝的なものよりも、劣悪で自然な行動を一切奪われた環境要因や飼料要因、または薬剤によるホルモン管理の影響が強いことがわかる。ウィンドレスの豚舎が増えていることも豚たちのホルモンバランスを崩している。発情がわかりにくくなったりする課題解決のために業界が行うことは、発情検知の装置を開発すること。だが、これは誤りだ。動物により自然な環境、ストレスの少ない環境を用意し、運動させ、まともな体を維持させてほしい。*https://austinpublishinggroup.com/veterinary-science-research/fulltext/avsah-v4-id1029.php*https://doi.org/10.1017/S1751731109990814*https://doi.org/10.21521/mw.6894*https://doi.org/10.3390/agriculture14071084クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleひかり Next Article雌雄鑑別養成所、改善に向かうもう一歩 2025/03/16