論文概要
孵化直後の飼料および水の給与制限(PHFWD)が鶏の発育、生産成績、福祉(健康を含む)に及ぼす影響を明らかにするために、「メタ分析」が実施された。本研究では、査読付き科学論文に対して定量的な「メタ分析」(MA)と定性的な分析(QA)の2種類の手法を用いている。MAでは、過去に報告されたPHFWDの影響を、生産成績、死亡率、および卵黄嚢の相対重量に関連する変数について数値化した。QAでは、データセットに5件以上の記録がある場合(すなわち、心臓・肝臓・膵臓の相対重量、血漿中のT3・T4・グルコース濃度、十二指腸・空腸・回腸の相対重量、十二指腸・空腸・回腸の長さ、そしてそれら各部位の絨毛高および陰窩深さ)に、有意または非有意の効果が報告された研究の数を集計した。
MAの結果によれば、24時間(すなわち12~36時間)以上PHFWDが続くと、生後6週齢までの体重は早期給餌された鶏と比較して有意に低下した。さらにPHFWDの期間(24、48、72、84時間以上)が長くなるにつれて、体重および飼料摂取量の減少幅は大きくなった。PHFWDを84時間以上行った群では、より早期に給餌された群と比べて、生後21日齢および42日齢までの飼料要求率(FCR)が上昇した。42日齢時点での総死亡率は、PHFWDを48時間行った鶏で、早期給餌群や24時間PHFWD群よりも高かった。最初の1週間における死亡率は、PHFWDを84時間以上行った場合に早期給餌群よりも高かった。相対卵黄嚢重量に関するMAの結果は、PHFWDに対して明確な結論を示さなかった。
血漿中のT3・T4・グルコース濃度を対象としたQAでは、PHFWDを行った鶏で、早期給餌された鶏に比べて主にT3とグルコースが短期的に低下することが示唆され、一方でT4濃度にはPHFWDの影響は認められなかった。肝臓、膵臓、心臓の相対重量はPHFWD後に低下していたが、それは生後1週目の間だけにみられる現象だった。腸管セグメント(十二指腸、空腸、回腸)の発育遅延も生後1週目に観察され、相対重量の低下、および絨毛高と陰窩深さの減少として測定された。
以上の結果から、PHFWDが48時間(すなわち36~60時間)以上続くと、生後6週齢までの体重が低下し、総死亡率が増加することが示された。後者は鶏の福祉が損なわれている可能性を示唆しているが、PHFWDによる臓器の発達や生理的状態への影響は主として短期的なものにとどまると考えられる。
Ingrid C. de Jong, Johan van Riel, Marc B. M. Bracke, Henry van den Brand
2017/12/13
A 'meta-analysis' of effects of post-hatch food and water deprivation on development, performance and welfare of chickens