論文概要
- 英国の成人302人を、3つの介入グループに割りあて、それぞれに別の情報を提供した
- 3種類の介入によって、従来の食肉の問題点を強調するメッセージの有効性を検討した
- カウンターメッセージは、培養肉の受容に変化をもたらした
- 男性、若い消費者、肉をよく食べる人ほど受容度が高かった
- 受容の変化は、培養肉のメリットに対する認識が影響していた
培養肉がシンガポールで購入できるようになり、さらに多くの国々がまもなく追随すると予想される中で、培養肉の受容に関わる個別の要因や情報提供の影響について調査した研究は増えてきた。しかし、これまでの研究では、従来の食肉生産の問題点を敢えて利用することで培養肉のメリットを強調する「カウンターメッセージ」の効果について、明確に検証されたことはない。
本研究では、英国の成人302人をサンプルとした3グループの無作為化実験デザインを採用し、参加者には、アニマルウェルフェアに焦点をおいたカウンターメッセージ・環境保護に焦点をおいたカウンターメッセージ・培養肉とは無関係の内容を含む文章、のいずれかを提示した。データ分析では、情報提供の前後での反復測定により、(培養肉の)受容における変化を調べ、情報提供による影響を検証した。
結果としては、(アニマルウェルフェアと環境保護で)カウンターメッセージの焦点による違いは見られなかったが、この手法によって消費者の受容は全般的に促進されていた。培養肉を受容する姿勢は、男性・若い消費者・肉をよく食べる消費者において高い割合だった。情報提供による受容の変化については、消費者が培養肉の有効性を認識したかどうか、またわずかではあるが、予備知識が不足していることが影響していた。
カウンターメッセージの可能性を実証し、培養肉に対する受容の変化を決定する要因を初めて検証したことで、本研究の成果は、研究者や政策立案者、現在進行中の開発やマーケティングを推進する人々にとって有用なものとなるはずである。
Chad M. Baum, Wim Verbeke, Hans De Steur
2021/12/03
Turning your weakness into my strength: How counter-messaging on conventional meat influences acceptance of cultured meat