論文概要
- 回帰木分析において、最も影響力のある要因は国の違いであった
- オーストラリアは、特に35~55歳において、食肉の削減に最も消極的であった
- 英国の女性と中国の男性は、食肉の削減に最も意欲的であった
- タンパク質代替品の個別カテゴリーを選ぶ意欲は国によって異なっていた
世界的な食肉需要の増大によって、環境や食料安全保障おける問題はさらに深刻になっている。健康的で持続可能な食生活を採用して食肉消費を削減することは、これらの問題に取り組むためのアプローチの一つとなる。本研究では、肉を食べる人々を対象としたオンライン調査でオーストラリア(503人)・中国(785人)・英国(489人)の消費者から回答を収集し、肉食行動の調査において文化間の違いや人口統計学的な違いを考慮する意義について検討した。
研究の目的は、年齢・性別・国による影響を考慮したうえで、肉を消費する習慣と、食肉を減らし代替タンパク質(代替肉・食用昆虫・培養肉)を選ぶ意欲との関連性を明らかにすることである。CHAIDアルゴリズムを用いた回帰木分析によってデータを解釈し、変数間の相互関係を探った。
結果として、肉の消費量の変化や、食肉を減らし代替品を選ぶ意欲について、これらを予測するうえで最も影響力のある因子は国の違いであった。全体として、オーストラリア人、特に35~54歳の消費者は、中国や英国の消費者と比較して、肉を減らし代替品を採用する意欲が有意に低かった。興味深い結果として、中国では男性のほうが女性よりも食肉の削減と代替食品の導入に積極的であったが、英国ではこれとは逆の傾向が見られた。
調査の結果から、それぞれの国に合わせて食肉削減の戦略を立案する上では、文化的差異・年齢・性別などの要素を考慮することが重要である。また、国内での食生活の移行を推進するためには、タンパク質代替食品について(代替肉・食用昆虫・培養肉などの)適切なカテゴリーを導入することも必要である。全体として、食肉消費と他の心理行動データにおけるような複雑な相互関係を説明するうえで、回帰木分析は統計手法として有用であった。
Hannah Ford, Yuchen Zhang aJoanne Gould, Lukas Danner, Susan E.P. Bastian, Rebecca Ford, Qian Yang
2023/10/30
Applying regression tree analysis to explore willingness to reduce meat and adopt protein alternatives among Australia, China and the UK