論文概要
プラントベースの食事は、アニマルウェルフェア・環境・公衆衛生に有益であるとして、急速に広がりつつある。肉を食べる人々と比べた場合、ベジタリアンやヴィーガンのように肉を食べない人々の動機となっているのは、特にアニマルライツや環境の問題である。しかし、その動機や心理的要因に関してベジタリアンとヴィーガンの間での違い、ベジタリアンが完全なプラントベースの食事に移行するのを妨げる要因については、ほとんど知られていない。
ヴィーガン(335人)とベジタリアン(182人)のサンプルを用いて、肉の消費を減らす/やめる動機、乳製品・卵製品の消費を減らす/やめる動機、両者の違いを説明できる可能性のある道徳心理学的要因や社会的背景について調査した。結果では、肉食を控える動機はベジタリアンとヴィーガンで類似している傾向があり、アニマルライツへの関心が最も強い動機となっていた。しかし、ベジタリアンでは、乳製品・卵の消費に関しては、健康や環境、特にアニマルライツを理由とした動機は肉の消費に比べると弱くなっており、またヴィーガンと比較した場合にも弱くなっていた。
乳製品・卵の消費削減に関して、アニマルライツを理由とした動機がベジタリアンで弱かったことについては、(ヴィーガンと比べて)動物に対する道徳的関心が低いこと、人間至上主義の信念が強いこと、ヴィーガニズムを脅威と感じていることなどが、その原因の一部となっていた。健康および環境を理由とした動機についてもベジタリアンとヴィーガンには違いがあり、これも人間至上主義の信念の違いによって説明できた。
さらに、ベジタリアンはヴィーガンに比べて、プラントベースの食事スタイルについて、周囲の人々からの支持を得られていないと感じており、プラントベースの食生活に対する現実的な障壁をより強く感じていた。これらの結果は、ベジタリアンとヴィーガンについて、その動機や心理プロファイルにおける重要な違いを明らかにし、食生活の動機として、肉を避けることとプラントベース食を選ぶことを区別する必要があることを示している。
Kristof Dhont, Maria Ioannidou
2024/01/28
Similarities and differences between vegetarians and vegans in motives for meat-free and plant-based diets.