論文概要
本稿では、消費者の視点から見た、タンパク質の摂取における変化の動態について検討する。社会表象理論のモデルに基づいて、代替タンパク質に関するさまざまな表象が、食品消費の変化に果たす役割を明らかにし、インスタグラムにおいて代替タンパク質に関する表象が消費者にどのように受け取られているかについて考察する。方法論としては、異なる消費者層から3つのフォーカスグループ(雑食、フレキシタリアン、ベジタリアン/ヴィーガン)を構成し、個別に7回のインタビューを実施した。ソーシャルメディアの投稿で使われた写真を(会話やインタビューのための)刺激材料として参加者に提示し、そこで表現されている代替タンパク質に関する様々な社会的表象について、参加者のコメントを求めた。
その結果、代替タンパク質が環境問題やアニマルウェルフェア、健康に関して優れていることをインスタグラムの投稿でアピールすることは、食習慣に新たな要素を取り入れるうえで概して有用であることがわかった。こうした投稿は、肉や乳製品を消費する習慣について消費者に再考を促すうえで非常に重要であるが、その一方で、批判的に受け止められて変化につながらないこともあり、両刃の剣となっている。
代替タンパク質は汎用性が高く、多くの人に喜ばれるなど、日常の食品に含まれるタンパク質としての側面を説明した場合は、より円滑に受け入れられることがわかったが、これら単独では消費習慣の変化を深いレベルでは実現できない可能性がある。本研究の結果からは、多様なコミュニケーション戦略を展開して、代替タンパク質を様々な消費者層にアピールすることが重要であると考えられる。
Claudia Laviolette, Laurence Godin
2024/08/01
Cultivating change in food consumption practices: The reception of the social representation of alternative proteins by consumers