論文概要
培養肉は従来の食肉に代わる食品として期待されているが、その導入に関しては課題があり、消費者には抵抗感があると予想される。これまでの研究では、コミュニケーション戦略や広告によるアピールによってこれらの懸念に対応する可能性について検討されてきたが、培養肉の導入を推進するうえでソーシャルメディアのインフルエンサーがどのような役割を担えるかについては未だ検証されていない。
本研究ではProlific から募集した参加者752人を対象として2つのオンライン実験研究を実施し、培養肉を購入する消費者の意欲に対してインフルエンサーが及ぼす影響について、マイクロ・インフルエンサー(フォロワー数・1万~10万人)とメガ・インフルエンサー(同・百万人超)を比較して検証した。
研究1では、培養肉を購入する消費者の意欲は、メガ・インフルエンサーよりもマイクロ・インフルエンサーに勧められた場合のほうが強くなることがわかった。この効果を媒介しているのは、インフルエンサーの推奨に対する信頼感であり、マイクロ・インフルエンサーによる推奨は、メガ・インフルエンサーのそれに比べてより信頼できると認識されていた。
研究2では、こうした効果に影響しているのはインフルエンサーの専門知識と肉の種類であり、健康問題を専門とするマイクロ・インフルエンサーは、ファッションを専門とするマイクロ・インフルエンサーに比べて、培養肉に対する購入意欲を高めるうえでより顕著な影響力を持っていることがわかった。一方、通常の食肉に対する購入意欲に関してはこのような違いは見られなかった。
本研究の結果は、インフルエンサーが勧める培養肉に対する消費者の認識を理論的に説明し、消費者の培養肉に対する受容度を高めるとともに、ソーシャルメディアにおいて培養肉ブランドの販売を促進するうえで実用性のある指針を提供するものである。。
Fernanda Polli Leite, Felix Septianto, Nicolas Pontes
2024/08/01
'Meat' the influencers: Crafting authentic endorsements that drive willingness to buy cultured meat