論文概要
動物についての固定観念(ステレオタイプ)によって、人々が動物に対して抱く共感を予測できるかどうか、事前登録研究で検証した。2つの研究において(それぞれの参加者数は173名および202名)、参加者は、16の異なる生物種に属する48頭の動物に関して、共感を抱く対象として見るか、客観的な対象として見るかを選択した。これらの動物は、人々が(その動物について)認識している「知能」と「温かさ*」のレベルに関して4つのグループに分かれていた。
その結果、すべての動物グループにおいて、共感的視点を選択する傾向は客観的視点を選択する傾向よりも低かった。しかし、共感的な選択は、知能が高い(研究1および2)、温かさが高い(研究2のみ)というイメージが固定化された動物グループにおいて強かった。
共感を抱くことは(動物種によっては)認知的に難しく、その難しさの程度にばらつきがあった。このことは動物に対する固定観念に基づいた共感選択のパターンと関わっており、これは特に動物の知能に関する固定観念に関して最も顕著だった。共感の選択が重要であることは、参加者によるこのような選択が、動物の福祉のために寄付したいと考える金額と相関していたという結果からも示唆された(研究2)。
*「温かさ」に関して、(草食性の)被食動物は、害虫や(肉食性の)捕食動物に比べるとより高いと評定される。しかし、(犬・猫のような)コンパニオンアニマルほどには高くなく、このため中程度の「温かさ」という評定になる。
Janet K. Swim, Joseph G. Guerriero, Michael L. Lengieza, C. Daryl Cameron
2023/09/07
The effects of stereotypes about animals’ competence and warmth on empathy choice