論文概要
- 新技術の食品への嫌悪感が強いほど、クリーンミート(培養肉)に対する評価は否定的になる
- 食品の自然さは、クリーンミートに対する考え方にはあまり影響していない
- クリーンミートへの否定的評価は、自然さへの懸念ではなく、安全性への懸念で説明できる
実験室で育てられた「クリーンな」食肉(培養肉)は、従来の食肉と構造的によく似ているが、通常の食肉に比べて環境・健康・倫理の面で利点がある。しかし、クリーンミートに対して好意的な人がいる一方で、消極的な人もいる。クリーンミートの受容に関するこのような顕著な違いが、新しい食品技術に対する嫌悪感や食品の自然さを重視する価値観など、人々が生来持っている違いに根ざしているかどうかを検証した。
3つの実験において、参加者(合計1169名)はクリーンミートまたは通常の肉のラベルが付いた料理を評価した(料理のラベルの効果は参加者間で相殺した)。実験1から3で一貫した結果として、クリーンミートを通常の肉料理よりも否定的に見ていたのは、雑食で新技術への嫌悪感が強い人のみで、雑食でも新技術への嫌悪が弱い人ではこのような傾向は見られなかった。(通常の肉料理と比べた場合の)クリーンミート料理に対する見方が、食品の自然さを重視する価値観によって影響されることはなかった。
実験2では、クリーンミート・通常の肉に加え、プラントベース代替肉とラベルされた料理も含めて比較したところ、ベジタリアンやヴィーガンは、クリーンミート料理をプラントベース料理に比べてかなり否定的に見ており、この効果は新技術への嫌悪感が強い人でより顕著であった。
食品の新技術への嫌悪感が強い人ほどクリーンミートを好まないことについて、最後の実験3では、自然さではなく、安全性への懸念がある程度関わっていることが明らかになった。全体としてこれらの結果は、新しい食品技術に対する一般的な懸念がクリーンミートの受容に対する心理的障壁となっていることを示している。
Victoria C. Krings, Kristof Dhont, Gordon Hodson
2021/09/20
Food technology neophobia as a psychological barrier to clean meat acceptance