論文概要
背景: 質の悪い食生活は、非感染性疾患のリスクを高めるなど、健康に悪い影響を及ぼす。食糧システムのなかでも特に農業は、気候変動につながる温室効果ガス排出(GHGE)の一因となっている。この意味で肉の消費は健康と環境負荷の両方に関与していることになるが、代替肉を採用することでこれらの問題を軽減できる可能性がある。研究の目的は、食肉製品とプラントベース代替食品を、栄養指標・温室効果ガス排出・価格の点から比較し、政策立案者や医療専門家の立場から代替肉を推奨することが適切で有益かどうかを検討することである。
方法: 英国のスーパーマーケット5店舗において99品目の食品を選択し、その栄養情報と価格に関するデータを収集した。これらの製品のうちの97品目に関する温室効果ガス排出の推定値は、二次的資料から入手した。食肉製品と代替肉製品を比較するため、栄養価・温室効果ガス排出量・100gあたりの価格について、それぞれの中央値を算出した。各栄養素・排出量・価格に関して、食肉製品と代替肉製品での有意差を検証するため、Mann-Whitney U検定を用いた。
結果: 同等の肉製品と比べた場合、代替肉は線維質と糖質をより多く含むが、価格はより高かった。カロリー・飽和脂肪・タンパク質・温室効果ガス排出量については、代替肉は肉製品に比べて有意に低かった。塩分の含有量には有意差はなかった。
結論: 全体として代替肉は、肉製品に比してほとんどの栄養指標において健康面で優れており、また温室効果ガス排出量が低く環境に優しいことがわかった。しかし、社会的貧困層では、価格が高いことが代替肉製品への切り替えへの障壁となる可能性がある。
Alice A. Coffey, Robert Lillywhite, Oyinlola Oyebode
2023/08/03
Meat versus meat alternatives: which is better for the environment and health? A nutritional and environmental analysis of animal-based products compared with their plant-based alternatives