論文概要
アニマルウェルフェアへの懸念が高まりと、肉食の一般的な広がりにもかかわらず、消費者行動に関する文献では、肉食に対する消費者の罪悪感を理解することへ注意が向けられることはほとんどなかった。本研究ではこの空白を埋めるために、動物を人間に見立てて擬人化したときに消費者がどのような行動をとるかを探った。このように動物を擬人化することによって、動物に危害を加えることに対する道徳的な懸念を引き起こす可能性がある。
本研究では、肉食への関心がすでに低い消費者では、動物の擬人化によって肉の消費が減少する可能性があることが明らかになった。しかし、大半の消費者は、動物の擬人化に直面しても肉の消費を減らすことはない。そうではなく、よりヘルシーな肉料理を、ヘルシーではないが美味しい肉料理の代わりに選ぶのである。これは、肉食に健康上の利点があることが肉を食べる強い口実となって、動物の苦しみに対する罪悪感を解消してくれるからである。
このような罪悪感の軽減が根底にあるメカニズムなのであり、食肉動物に対する人道的な扱いは、動物の苦しみに対する罪悪感を軽減するため、健康的な肉料理を選ぶに際しては、結果的に動物擬人化の効果を弱める* ことが示された。
* この研究では、動物への人道的な扱いそのものがもたらす行動への影響について直接検証していないため、最後の結論にはやや飛躍があることに注意する必要がある。
Danny JM Kim, Sunyee Yoon
2020/12/28
Guilt of the Meat-Eating Consumer: When Animal Anthropomorphism Leads to Healthy Meat Dish Choices
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