論文概要
ベジタリアンとヴィーガン(菜食主義 veg*nism)の割合が世界中で上昇する中で、ベジタリアン・ヴィーガンと雑食の人々との間にある心理学的特徴の違いを探る研究が増えつつある。しかし、菜食主義が「ビッグファイブ*」にあるような基本的な性格特性とどう関わっているのかを調べた研究は少なく、これまでの研究結果も一致していない傾向がある。また、ビッグファイブの階層的モデルにおける、下位の性格特性因子(アスペクト・ファセット)については検討されていない。そこで本研究では、これらの性格特性と菜食主義の関連を検証することを目的とした。
研究1では、2つのサンプル(797人・1534人)で構成される参加者を、菜食主義者・制限付きの雑食主義者・雑食主義者に分類し、ビッグファイブの特性因子のうちドメイン・アスペクトに関する性格質問票への回答を求めた。研究2では、562人の参加者は、カテゴリー尺度と連続尺度で菜食・雑食のレベルを評価する検査票、特性因子のうちドメイン・アスペクト・ファセットに関する性格質問票に回答した。2つの研究を通じて最も一貫していたのは、開放性/知性と協調性においてスコアの高い人々は、高いレベルの菜食主義であることだった。また、データのパターンからは、性格と菜食主義の関係は、菜食主義を測定する方法によって変わる可能性があることが示唆された。これらの知見がもたらす理論的および実践的意義について考察する。
*性格を研究するために使用される5つの特性で、開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向の5つの主要因子(ドメイン)で構成される。ビッグファイブモデルは階層的に構成され、5つのドメインの下位因子として「アスペクト」と「ファセット」がある。
Nicholas P. Tan, Tamlin S. Conner, Haisu Sun, Steven Loughnan, Luke D. Smillie
2021/03/08
Who Gives a Veg? Relations between Personality and Vegetarianism/Veganism