論文概要
これまでの多くの研究から、倫理的な理由を動機としてベジタリアンになる人と、健康のためにベジタリアンになる人では、心理学的にさまざまな相違があることが明らかにされている。しかし、食事を選ぶ動機を調べるうえで、倫理と健康だけの二元的な分類に依拠するとすれば、ベジタリアンの倫理的関心における重要な違い-すなわち、それが動物に関するものか、環境に関するものなのか-を見落としてしまう可能性がある。
事前登録された2つの研究において、動物・健康・環境への関心をそれぞれ動機とするベジタリアンを対象として、食事における目標・肉に対する嫌悪感・食習慣の遵守度を比較した。
研究1(参加者361人)では、環境を動機とするベジタリアンにとって食生活は、より利他的・道徳的で、個人的でない目標を達成するための手段と捉えられており、この点においては健康を動機とするベジタリアンよりも、動物を動機とするベジタリアンに近いことがわかった。
しかし、研究2(参加者562人)では、環境を動機とするベジタリアンは、肉に対する嫌悪感が少なく、また食習慣への遵守度が低く、この点では動物を動機とするベジタリアンよりも、健康を動機とするベジタリアンに近いことがわかった。
動物への関心を動機とするベジタリアンが最も厳格に食習慣を遵守していた理由は、肉に対する嫌悪感が強いことによって説明された。倫理的な動機における様々な違いを区別することで、食行動に関してより精緻な洞察を得られる可能性がある。
Daniel L. Rosenfeld
2018/12/11
Why some choose the vegetarian option: Are all ethical motivations the same?