論文概要
世界の食肉消費を減らすことによって、アニマルウェルフェアや環境、健康に関する諸問題を改善することができる。多くの人々はこのことを認識しているにも関わらず、肉を食べ続けている。アニマルウェルフェアも肉を食べることも、どちらも重要であると考える場合のように、食肉消費について自分の認識が相反していることに気づいたとき、人々は強い不快感を覚えることがあり、このような状態は認知的不協和として知られている。
本研究では、こうした既存の知見に加えて、認知的不協和を望ましい行動選択のために利用できるかについて探求する。具体的には、アニマルウェルフェアの大切さについて内省を促すことで、人々がアニマルウェルフェアについて本来抱いている価値観を刺激し、そこで誘発された認知的不協和によってベジタリアン食の選択を促進できるかどうかを検証する。
オンライン調査では、このような価値観を刺激する戦略によって、食肉消費に関して経験する認知的不協和が実際に増強され、結果としてベジタリアン食を選ぶ意欲が高まった。このような効果は、特に環境への配慮を自己アイデンティティとして強く持つ人々で顕著だった。これに続くレストランでのフィールド調査では、この価値観刺激戦略によってベジタリアン・バーガーの注文率がほぼ倍増していた。これらの結果は、アニマルウェルフェアについて内省を促すことで、人々に食肉消費に関する内的な葛藤を直視させることができ、この葛藤をベジタリアンの食事の選択へと振り向けることができることを示している。
Emily P. Bouwman, Jan Willem Bolderdijk, Marleen C. Onwezen, Danny Taufik
2022/09/15
“Do you consider animal welfare to be important?” activating cognitive dissonance via value activation can promote vegetarian choices