論文概要
食生活の選択は気候変動に影響を及ぼしているが、プラントベース食品の消費推進はこれを緩和するのに役立つ。これまでの研究によれば、人々が購入を決める環境を適切に整えることで、持続可能な消費に向けた行動変容を達成できる可能性がある。本研究では、持続可能な食品選択を促進するための2種類の行動介入(カーボンフットプリント*1表示および食品のカテゴリー化)をオンラインショッピング環境で実施し、その効果を検証した。
米国の参加者2,359人から収集した食料品のオンラインショッピングに関するデータでは、プラントベース食品の選択はカーボンフットプリント表示によって37%増加し、カテゴリー化によって25%増加していた。この2つのナッジ*2を組み合わせた場合には、プラントベース食品の選択は32%増加した。参加者はカーボンフットプリントの情報に接していたが、それにも関わらず、さまざまな食品が環境に及ぼす影響を適切に評価できていなかった。
食料品オンラインショッピングの世界市場は成長を続けているが、以上の研究結果から、このような環境においてシンプルかつスケーラブルな介入を行うことが持続可能な選択を促すうえで有効であることが示された。
*1 製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至る過程を通して排出される温室効果ガスの総量。カーボン(CO2 )の排出量に換算して表示される。*2 行動科学の手法で、経済的なインセンティブや明示的な行動の強制なしに、無意識に働きかけて行動変容を促す
Bhagyashree Katare, Shuoli Zhao
2024/12/02
Behavioral interventions to motivate plant-based food selection in an online shopping environment