論文概要
近年、環境・社会・ガバナンスの問題(Environment- Social- Governance; ESG)についての意識の高まりを受けて、アニマルウェルフェアへの関心は着実に高まっている。この傾向は、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)とも一致している。このことからも、アニマルウェルフェアに配慮した製品に対する消費者の態度を理解することは重要である。
本研究の目的は、価値-態度-行動(VAB)モデルを理論的基礎として採用し、ケージフリー卵を購入する台湾の消費者の行動意図を探ることである。この領域における消費者行動について包括的に理解するために、本研究では「人間と自然のつながり」、「ラベルへの信頼」、「アニマルウェルフェアに対する態度」を主要な変数として検証する。従来あまり注目されてこなかった領域に貢献するため、過去の研究結果に存在するギャップに取り組み、アニマルウェルフェアに配慮した製品に関する消費者行動について探索する。
研究では、合計341件の有効な質問票を収集し、構造方程式モデリングと最尤推定を用いて、変数間の因果関係を調査した。ここで得られた3つの重要な観察結果としては、第一に、持続可能性と倫理を重視する消費者は、ケージフリー卵に対して肯定的な見方を保つ傾向がある。第二に、ケージフリー卵に対する好意的な姿勢は、(環境に優しい製品に購入に対して)前向きな行動意図と直接相関している。最後に、ラベルの信頼性とアニマルウェルフェアへの支持は、消費者の行動意図に大きく影響している。これらの知見に加えて、消費者の選択におけるアニマルウェルフェアの重要性の高まりを考慮すると、食品・畜産業界による、動物の福祉を優先する手法への本格的な取り組みが求められる。
Min-Yen Chang, Ching-Tzu Chao, Han-Shen Chen
2023/09/02
Exploring the Impact of Human–Animal Connections and Trust in Labeling Consumers’ Intentions to Buy Cage-Free Eggs: Findings from Taiwan