論文概要
- シンガポールの消費者において培養肉の受容を増やすために強い効果のあるフレーム*はなかった
- 仏教徒では、「アニマルウェルフェア」と「二酸化炭素排出と地球温暖化を減らす」というフレームが受容を増加させた
- 自然を改変することへの抵抗感は、培養肉の利点についての認識や消費意欲と関連していた
- 「培養肉」は最も好まれる用語であった
- 「培養肉」という用語は、この新しい食品に対する肯定的態度と最も強く関連していた
本稿は、定性的段階(研究1)と定量的段階(研究2)で構成されている。研究1の目的は、シンガポールの食肉消費者(培養鶏肉を食べたことのある消費者を含む)にとって、(培養肉の受容のために)どのようなフレームや呼称が最も魅力的であるか、また、培養肉の自然さに対する認識が年齢層によって異なるかどうか、を明らかにすることである。研究2では、どのようなメッセージ・フレームと呼称が、消費者の培養肉受容を促進するのに最も効果的かを検証した。さらに、培養肉の自然さや受容性の認識に関して年齢が関係しているかどうか、また、自然を改変することへの抵抗感が、培養肉の利点の認知や消費意欲にネガティブに関係しているかどうかを調査した。
第一に、我々の分析では、受容を促進するうえで強い効果のあるフレームはないことが明らかになった。このうちで例外は、「アニマルウェルフェア/動物の殺処分を減らすこと」と「二酸化炭素排出と地球温暖化を減らす」であり、これらは仏教徒において受容を高めることがわかった。第二に、年齢、自然さについての認識、および培養肉の受容の間には一貫した関係はなかった。第三に、「培養肉」は最も好まれる用語であり、培養肉に対する肯定的態度と最も強く関連していた。最後に、予想外の結果として、自然改変への抵抗感は、培養肉の利点についての認識、培養肉の消費意欲と、それぞれ相関していた。培養肉産業に対する研究結果の意義について考察する。
*情報に対する見方・受け止め方、物事や人への印象や意味を左右する心理的枠組み
Mark Chong, Angela K.-y. Leung, Tricia Marjorie Fernandez, Shu Tian Ng
2023/09/12
Effects of framing, nomenclature, and aversion to tampering with nature on consumer acceptance of cultivated meat in Singapore