論文概要
人間以外の動物に対する捉え方は、人間が動物をどのように利用するかによって異なる。コンパニオンアニマルは擬人化され、高い道徳的地位を与えられているが、畜産動物にそのような配慮が向けられることはあまりない。このような認識の違いがどのように生じるのかを明らかにするため、ドイツの生物学の教科書において畜産動物とコンパニオンアニマルがどのように描かれているかを検証し、人間以外のさまざまな動物種に付きまとう偏見を特定・分析した。
動物に対するさまざまな道徳的配慮や扱いは、その動物種が属する種によってのみ決定され、これはより広い意味での動物に対する集団的態度を反映したものであり、種差別主義と呼ばれている。ドイツの生物学教科書35件に関する分析では、コンパニオンアニマル(犬・猫)と畜産動物(豚・牛・鶏)に関する描写を比較し、そこに違いがあるかどうか、またコンパニオンアニマルを特別に扱う種差別や、動物の感情および認知能力(アニマルマインド)に対する信念に現れているかどうかを調べた。カテゴリーのセットを作成し、コンパニオンアニマルと畜産動物の描写にどのような文章が使われているかを調べ、その頻度を比較することで、ドイツで使われている教材の中に種差別主義が見られるかどうかを検証した。
その結果、ドイツの生物学教科書におけるコンパニオンアニマルと畜産動物の表現には大きな偏りがあることがわかった。具体的には、コンパニオンアニマルは、畜産動物に比べて内在的により大きな価値があるとされ(χ2 = 102.36, p < 0.001, φ = 0.152)、より大きな関心が向けられ(χ2 = 20.91, p < 0.001, φ = 0.069)、アニマルマインドに関する信念はより強かった(χ2 = 351.22, p < 0.001, φ = 0.269)。
これらの結果は、教科書における種差別的な偏見を明らかにするものであり、その中ではコンパニオンアニマルはより好意的に描かれる一方で、畜産動物には関心が向けられないか、単なる資源として描かれている。このことは、人間以外の動物に対する捉え方に関して重大な問題を提起するとともに、教材の中で動物がどのように描かれているかを再検証する必要があることを強く示している。
Elena Folsche, Milan Büscher, Svenja Muth, Joanna Wöbking & Florian Fiebelkorn
2024/12/09
Second-Class Animals: Systematic Discrimination of Farm Animals in German Biology Textbooks