論文概要
背景: 欧米社会において肥満率は上昇を続けており、食事パターンの変化を分析することは極めて重要である。栄養学的調査はこれに関して有益な情報をもたらすが、その一方で伝統的な料理本のレシピ集は各国に固有の料理とその歴史的な変化を反映してきた。食品情報についてはオンラインプラットフォームが普及しつつあるが、料理本は依然として一般的な食生活の傾向や人々の食生活を反映している可能性がある。本研究では、(1)2008年から2018年までのベストセラー料理本における栄養成分と食品群の使用量の変化、(2)これらの料理本に掲載されている食品群と、同時期の世帯における食事パターン(購入状況からの推測による)の相関、の2点について調査した。
方法: フランダース地方において2008年から2018年まで年間ベストセラーとなった5冊の料理本について、その各々からメインコースのレシピ20品を選んで探索的な生態学的研究を実施した。これらのレシピにおける主要栄養素と食品群の使用量の傾向を一般化線形モデルによって分析し、フランダースの家庭購買データとの関連について相関行列を用いて検証した。
結果: 料理本におけるプラントベース食材や代替肉の使用率は、2008年から2018年にかけて上昇傾向にあることが明らかになった。野菜・ナッツとシード類・チーズの使用量が増加していたが、その反対に、肉・砂糖・甘味料・アルコール・乳製品の使用量は減少していた(すべてp < 0.05)。主要栄養素の含有量では、炭水化物・繊維質・糖質は増加したが、総脂肪量は減少していた(すべてp < 0.05)。タンパク質と飽和脂肪のレベルは時間経過を通じて一定していた。
特に注目すべきは、一般的な料理本のレシピで見られた、植物性・動物性の食品群におけるこうした嗜好のシフトは、実際の家庭での食品購入に見られる傾向と一致していたことである(すべてp値<0.05)。
結論: これらの研究結果は、料理本の内容が時間の経過とともに変化し、社会集団における食事パターンの変化を反映している可能性があることを示している。今後の研究では、異なる料理本の間で何らかの因果関係を及ぼしあっていないか、また、料理本が健康増進に役立つ可能性があるかを検証する必要がある。
Viktor Lowie Juliaan Proesmans, Christophe Matthys, Iris Vermeir, Maggie Geuens
2024/08/24
Evolution of dietary patterns in Flanders: an ecological trend study on best-selling cookbook recipes (2008-2018) and their correlation with household purchases