論文概要
環境と動物のため、また個人の健康と公衆衛生のために、工場畜産から脱却する強い理由はますます増えつつある。動物性食品を代替するプラントベース食品は、嗜好性・価格・利便性という消費者の意思決定の中核をなす要素に対応しているため、動物性食品の消費を削減するうえで極めて実現可能性の高い手段である。プラントベース代替食品は、他の植物性食品ではなく動物性食品に対する需要を代替する傾向にあり、プラントベースのホールフードのみと比べると動物性食品を代替できる可能性は高い。
本稿では、健康性および環境の持続可能性に関してプラントベース代替食品と動物性食品を比較した研究論文43報についてレビューした。環境の持続可能性に関しては、プラントベース代替食品は動物性食品に比べて、温室効果ガスの排出・水利用・土地利用を含むさまざまなアウトカムにおいて幅広く持続可能性が高かった。
健康性に関しては、プラントベース代替食品は、全般的に好ましい栄養プロファイル・減量のサポートや筋肉合成の促進・一部の疾病に対する効果など、多くの利点があることがわかった。さらに、いくつかの研究によれば、プラントベース代替食品は、最適な原料や加工処理を用いれば、その健康性をさらに向上させることが可能である。
従来の食肉生産者がプラントベースの代替肉製品に移行していくのに合わせて、消費者や政策立案者においても、プラントベース代替食品に関する(自然なものが良く、自然でないものは悪いという)自然主義的な先入観に囚われるのではなく、環境や公衆衛生、個人の健康と動物において利益があることを受け入れる必要がある。
Christopher J. Bryant
2022/07/22
Plant-based animal product alternatives are healthier and more environmentally sustainable than animal products