論文概要
プラントベース食には多くの健康上のメリットがあるが、適切に計画しなければ微量栄養素が不足するというリスクもある。サプリメントを摂取すればこうした栄養素の欠乏をきたすリスクを確実に減らすことができるが、欠乏のリスクを認識することは必要である。この調査では、プラントベース栄養に関する学会(VegMed 2018・ベルリン)に参加した医療従事者902名に対して記入形式の質問票を配布した。調査当日(2018年4月21日)に返送された質問票475件について、記述的に分析した。
厳格なヴィーガン 213名のうち、2%(5名)は全くサプリメントを使用していなかった。それ以外のサプリメントを使用しているヴィーガンでは、全員がビタミンB12を摂取していた。ビタミンDを摂取していたのはヴィーガンのおよそ 3/4 で(73%・152名)、オメガ3脂肪酸を摂取していたのは 22%(45名)であった。他にサプリメントが使われていたのは、鉄では13%(28名)、ヨウ素は12%(25名)、カルシウムは11%(22名)、亜鉛は7%(14名)、マグネシウムは5%(11名)、セレンは4%(9名)であった。ヴィーガンの11%では、ビタミンB12以外のサプリメントを主観的に最も重視されていた。およそ50%は少なくとも年に1回、ビタミンB12レベルを測定する血液検査を受けており、2年に1回受けているのはおよそ1/4、その他の1/4 はほとんど受けていないか、まったく受けていないと回答した。
ベジタリアンや雑食の参加者と比較して、ヴィーガンの参加者は、ヴィーガン食に関してドイツ栄養学会や栄養・食事学アカデミーが公式に推奨している内容をよく知っていた。また、妊娠・授乳期および小児期におけるヴィーガン食による栄養摂取は極めて適切なものであると考えていた。ヴィーガンの医療従事者の間では、厳格なヴィーガン食におけるビタミンB12欠乏に伴う潜在的な健康リスクについては良く認識されており、食生活に関する栄養学会の公式な勧告も幅広く理解されていたが、それにも関わらず、サプリメントを服用し、定期的な臨床検査を受ける割合はあまり高くはなかった。
栄養素の欠乏を防ぐには重要な栄養素を適切に補給することが不可欠であり、そのためには科学研究および社会における議論をさらに進める必要がある。ヴィーガンの医療従事者におけるサプリメントの摂取状況は、これらの人々が携わっている栄養カウンセリングの質と相関している可能性があり、その摂取行動については今後さらに検討する意義があると思われる。
Michael Jeitler, Maximilian Andreas Storz, Nico Steckhan, Dorothea Matthiae, Justina Dressler, Etienne Hanslian, Daniela A Koppold, Farid I Kandil, Andreas Michalsen, Christian S Kessler
2022/12/14
Knowledge, Attitudes and Application of Critical Nutrient Supplementation in Vegan Diets among Healthcare Professionals-Survey Results from a Medical Congress on Plant-Based Nutrition