論文概要
ヴィーガンに対して人々が抱く感情には相反するものがあり、ヴィーガンの道徳的な目的やコミットメントが賞賛される一方で、傲慢にみえるヴィーガンの態度や過剰なコミットメントが軽蔑されることもある。健康やアニマルウェルフェア、持続可能性のために肉の消費を減らそうとする努力は、後者のような否定的な認識によって、その効果が損なわれる可能性がある。
本稿では2つの事前登録研究において、ヴィーガンの動機(動物倫理・健康)が持つ道徳的価値について、雑食の人々の認識を調査した。研究1(390人)では、ヴィーガン活動家のうち、動物倫理を動機とする人々は、健康を動機とする人々に比べて道徳的であると見られていたが、傲慢で過剰にコミットしているとは見られていなかった。研究2(1177人)では、動物倫理を動機とするヴィーガンは、健康を動機とするヴィーガンに比べ傲慢なコミットメントと道徳的なコミットメントの両方があると見られていた。しかし、ヴィーガンが積極的に活動に関わっていると説明された場合には、道徳的コミットメントについての認識は相対的に弱まった。
活動家のヴィーガン、動物倫理のヴィーガンはともに、(非活動家や健康を動機とするヴィーガンと比べて)傲慢・過剰なコミットメントの印象が強いため、全般的に雑食の人々からは社会的な魅力が低いと見られていた。社会的魅力の低下はまた、動物性食品を減らす意欲の低下と関連していた。プラントベースの食生活を推進する上で、道徳的コミットメントを掲げることの有効性については、ヴィーガン運動のなかで議論が続いており、今回の研究結果はこのような議論に対して情報を提供する。
Ben De Groeve, Daniel L. Rosenfeld, Brent Bleys, Liselot Hudders
2022/03/21
Moralistic stereotyping of vegans: The role of dietary motivation and advocacy status