論文概要
豚のウェルフェアを向上させるうえで法制度は大きな原動力となり得る。本章では、豚のウェルフェアに関して、アジア(中国・ベトナム・フィリピン・日本)、南北アメリカ(米国・ブラジル・カナダ・メキシコ)、欧州連合(EU)において養豚生産で上位を占める国々の法制度をレビューする。
アジアとアメリカのいずれにおいても、国によって非常に大きな違いが見られる。アジアにおいてアニマルウェルフェアの法律や基準を策定する原動力となっているのは、社会の意識(フィリピンなど)や世界市場における豚肉取引(中国など)の影響である。南北アメリカの国々では、法律で定められている主な問題のひとつに、妊娠ストールの使用がある。全般的に、豚に対してはコンパニオンアニマルや野生動物ほどには法的な保護が及んでいない。
豚のウェルフェアに関するEUの法律は、欧州諸国だけでなく、EUの貿易要件を遵守することを望む他の国々における生産に大きな変化をもたらしている。ラベリング制度も豚のウェルフェアに大きな影響を与える可能性があるが、アジアとヨーロッパにおける認証制度の大半は飼養環境や食事などのリソースに関する評価となっている。
豚のウェルフェアに関する法律がほとんどない国々や、そうした法律が全くない国々では、世界動物保健機関 World Organization for Animal Health (WOAH)の基準は特に重要である。
Raúl David Guevara, Heng-Lun Ko, Leopoldo Stuardo, Xavier Manteca
2023/10/06
Global developments in pig welfare: From legislation to market-driven change