論文概要
世界の畜産サプライチェーンは、過去数年にわたって窒素の流れを大きく変化させ、環境と人間の健康を脅かしている。ここでは、畜産部門が世界の窒素フローと排出に及ぼす影響について、国際貿易による影響を含めて詳細に検証した。
その結果、畜産による現在の年間排出量は 65 テラグラム (Tg) であり、これは人為による現在の窒素排出量の3分の1に相当し、窒素に関するプラネタリーバウンダリー*に十分達するものである。この排出量のうち66%はアジアで発生しており、68%は飼料生産に関連している。排出量のほとんどは、地域で生産された動物由来の食品から発生しているが、一部の輸入国では、国際貿易に関連した窒素排出量が大きくなっている。
畜産部門が及ぼしている影響は重大であり、国内および国家間で窒素排出問題の主因となっていることを考えれば、世界的なイニシアチブによって食糧安全保障を維持しつつ、窒素汚染への対策に早急に取り組む必要がある。
* 人類にとって安全な活動領域となり得る地球環境の限界
Aimable Uwizeye, Imke J. M. de Boer, Carolyn I. Opio, Rogier P. O. Schulte, Alessandra Falcucci, Giuseppe Tempio, Félix Teillard, Flavia Casu, Monica Rulli, James N. Galloway, Adrian Leip, Jan Willem Erisman, Timothy P. Robinson, Henning Steinfeld & Pierre J. Gerber
2020/06/06
Nitrogen emissions along global livestock supply chains