論文概要
動物に対する利害関係者の姿勢を理解することは、アニマルウェルフェアの発展と改善にとって極めて重要である。獣医学・動物学・生命科学を専攻する大学生は、将来的には重要な利害関係者として動物に関連する産業に従事する人々と関わることになる。したがって、これらの大学生の動物に対する考え方やアニマルウェルフェアの知識を理解することは極めて重要となる。この調査の目的は、動物の感受性*1と5つの自由*2に関する心理尺度を用いて、異なる動物のクラス(ペット・畜産動物・実験動物・野生動物)に対する中国の大学生の関心を調査することである。
回答者の大学生は、動物科学との関連の有無を含め複数の専攻分野に所属していたが、全体として動物の感受性と五つの自由に対する考え方において非常に高いスコアを示した。しかし、このスコアには動物のクラスによって違いがあり、ペット(犬・猫)は動物の感受性・五つの自由モデルでいずれも高く、次いで野生動物でも高かったが、畜産動物や実験動物では低かった。獣医学を専攻する学生は、他の専攻と比較して、動物のクラスによって考え方の違いが最も顕著だった。また、回答者がより高いスコアを示したのは、現在動物を飼っているか過去に飼ったことがある場合や、アニマルウェルフェアについての受講歴がある場合、動物に関わる研究室に所属している場合などであった。今回の研究では、先行研究と比較して、動物に対する中国人大学生の姿勢に全般的な改善が見られた。
*1動物には痛み・苦しみから喜び・楽しみまでを含む、様々な感情があるという概念 *2動物の基本的なニーズが満たされ、 心地よく、安心・安全に暮らせているかを確かめるための指標で、アニマルウェルフェアの国際基準
Sara Platto, Agathe Serres, Ai Jingyi
2022/01/10
Chinese College Students’ Attitudes towards Animal Welfare