論文概要
食生活が穀類から肉・果物・野菜へと転換することで環境に対する影響は増大する。また、それに伴う赤身肉の過剰摂取と微量栄養素の欠乏も健康に関する懸念を高める原因となっている。これまでの研究では、現在の食習慣に代替する食事法が環境と健康に及ぼす影響について検討されてきたが、大気汚染や土地利用の変化への影響は見過ごされてきた。
ここでは、中国の食習慣における4つの潜在的変化が及ぼす影響を調べるため、アンモニアと粒子状物質(PM2.5)による大気汚染、温室効果ガスの排出、土地利用の変化に伴う炭素貯蔵量の喪失、水利用、および人間の健康について検証する。
我々は、赤身肉を大豆に置き換えた食生活は環境に有益であり、これによってPM2.5に関連した早期死亡を年間57,000人は避けられることを示す。また、中国食事ガイドライン Chinese Dietary GuidelineやEAT-Lancet 食*を採用した場合、食生活が健康にもたらす便益はより大きなものとなり、年間100万人以上の早期死亡を防ぐことができる。どちらの食事法においても水の使用と温室効果ガスは増加する。
中国食事ガイドラインでは土地利用の変化も増大するのに対し、EAT-Lancet食では乳製品と赤身肉を減らすことで土地利用の変化を削減できる。このように食生活のシフトがもたらす便益とトレードオフは複雑であり、健康と環境の両面における便益(コベネフィット)を実現するためには、農業管理をさらに改善することが強く求められる。
* プラネタリーヘルスダイエットとも呼ばれ、果物や野菜など加工度の低い植物性食品の摂取を重視し、魚や肉、乳製品の摂取は控えめにする食事法。
Yixin Guo, Pan He, Tim D. Searchinger, Youfan Chen, Marco Springmann, Mi Zhou, Xin Zhang, Lin Zhang, Denise L. Mauzerall
2022/03/18
Environmental and human health trade-offs in potential Chinese dietary shifts