論文概要
本研究では、人工肉を食べてみることや、定期的に食べること、お金を払って買うことに関して、ドイツの人々にどの程度の意欲があるか、社会人口学的要因による影響を分析し、人工肉をめぐって予想される社会的課題、ドイツ社会における受容の程度や今後の可能性について検討することを目的とした。将来的に消費者となり得るドイツの成人3,558名を対象として、オンライン調査で得られた回答を検証した。
回答者の約63%は、人工肉には期待が持てる、あるいは人工肉を受け入れられると考えていた。大多数の回答者は人工肉を食べてみたいと回答しており(70%)、そこで最も重要な動機となっていたのはアニマルウェルフェアに関する倫理上の懸念、好奇心、環境への配慮であった。参加者の約57%は、人工肉を定期的に食べても良いと回答し、そのほとんどである40%の参加者は、人工肉に従来の食肉と同じ価格を支払ってもよいと回答した。
今後の可能性については、回答者のほぼ75%は人工肉が商品化されるのは5年以上先であると考えていたが、人工肉はソリューションになると認識しており、従来の食肉に比べて倫理面の問題がなく(67%)、環境にも優しい(58%)と考えていた。さらに、食生活に人工肉を採り入れる意欲に関しては、人口統計学的要因による大きな影響が見られた。例えば、若年男性(18~30歳)、肉をほとんど食べない男性、低所得者(月収1,500ユーロ未満)は、人工肉を食べてみる、あるいは定期的に食べることに関して意欲的であった。このような傾向は女性の回答者でも見られたが、これらの女性は高所得層に属していた。新しい食品である人工肉の購入に意欲的なのは、若年で教育水準が高い、あるいは月収が3,000ユーロまでの消費者、および肉を食べない消費者であった。
さらに、回答者が人工肉を肯定的に捉え、受容している場合には、食べてみる、あるいは購入しようという意欲を高める効果があった。これらの結果は、持続可能性や食肉の需要、新しい食品の導入などの点から世界の食肉生産におけるパラダイムシフトを議論する上で重要である。
Anne-Katrin Jacobs, Hans-Wilhelm Windhorst, Julia Gickel, Sghaier Chriki, Jean-François Hocquette, Marie-Pierre Ellies-Oury
2024/06/12
German consumers' attitudes toward artificial meat