論文概要
食事に関連した慢性疾患の罹患率と死亡率は世界的に増加しつつあり、質の悪い食生活とカロリーの過剰摂取がこれを引き起こしている。同時に、世界の食料生産システムは地球の資源を枯渇させつつもあり、環境と将来の食料安全保障は危機に瀕している。個人と社会、そして地球の健康は密接に絡み合っており、対策を講じない限り、すべてがこうした脅威にさらされ続けることになる。
幸い、世界における現在の食事パターンを質の高いプラントベースの食事へと移行させれば、こうした健康と環境への負荷を軽減できる可能性がある。一般的な欧米型の食生活は多量の動物性食品を含むが、これに比べて健康的なプラントベースの食生活は、持続可能性が高いだけでなく、肥満・Ⅱ型糖尿病・心血管疾患・一部のがんをはじめ、慢性疾患のリスクも低くなる。
一人ひとりに適した疾病の管理・予防のために、プレシジョン・ニュートリション(精密栄養)は、ゲノム・メタボローム・マイクロバイオームといった個人の特徴に合わせた、効果的なアプローチを提供できる可能性がある。しかし、この分野の研究は初期段階にあり、まだ広く臨床応用できる段階にはないため、より大きな規模で健康と持続可能性を増進できる公衆衛生上の栄養戦略に勝るものではない。
健康的なプラントベース食へと移行するための介入策や政策変更は、広く世界で実施されれば、将来の個人、集団、そして地球の健康を確保するうえで大きな力となるであろう。
Elena C Hemler, Frank B Hu
2019/11/15
Plant-Based Diets for Personal, Population, and Planetary Health
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