論文概要
研究の重要性: 「米国人のための食事ガイドライン Dietary Guidelines for Americans *1」では、健康的な食事として現在複数の食事パターンが推奨されている。しかし、遵守する食事パターンによって長期的に総死亡と原因別死亡のリスクが変わるのかについてはほとんど検証されていない。
目的: 4種類の健康的な食事パターンについて、その遵守度を測定する食事スコアと、総死亡リスクおよび原因別死亡リスクとの関連を検討する。
デザイン・設定・参加者: 前向きコホート調査において、看護師健康調査 Nurses’ Health Study(1984~2020年)の初期に健康であった女性、医療従事者追跡調査 Health Professionals Follow-up Study(1986~2020年)の男性を対象とした。
要因: 健康食指数 Healthy Eating Index 2015・代替地中海食スコア Alternate Mediterranean Diet・健康的なプラントベース食指数 Healthful Plant-based Diet Index・代替健康食指数 Alternate Healthy Eating Index。
主要アウトカムと測定法: 総死亡数と原因別死亡数を主要アウトカムとし,人種・民族・その他の潜在的危険因子に関して層別化した。
結果: 最終的な調査対象は、看護師健康調査の女性75 230人(調査開始時の平均年齢(標準偏差)50.2(7.2)歳)と医療従事者追跡調査の男性44085人(53.3(9.6)歳)であった。合計3,559,056人年の追跡期間において、女性31,263人、男性22,900人が死亡した。
各食事スコアにおいて最も高い五分位と最も低い五分位を比較すると、多変量調整した総死亡のハザード比*2 は、健康食指数では0.81(95%CI、0.79-0.84)、代替地中海食スコアで0.82(95%CI、0.79-0.84)、健康的なプラントベース食指数で0.86(95%CI、0.83-0.89)、代替健康食指数で0.80(95%CI、0.77-0.82)であった(すべての傾向についてP<0.001)。
すべての食事スコアにおいて、心血管系疾患・がん・呼吸器疾患による死亡数に対して有意な逆相関が見られた。代替地中海食スコアおよび代替健康食指数では、神経変性疾患による死亡数と逆相関していた。食事スコアと死亡リスクの間にあるこのような逆相関は、ヒスパニック系・非ヒスパニック系黒人・非ヒスパニック系白人を含め、人種・民族が異なる場合でも一貫して見られた。
結論と意義: 最長36年間にわたる追跡調査に基づく2つの大規模な前向きコホート研究において、健康的な食事パターンをより忠実に遵守するほど、総死亡のリスクおよび原因別死亡のリスクには一貫して低下が見られた。これらの結果は、「米国人のための食事ガイドライン」による推奨事項を支持するものであり、個人の食習慣や嗜好に合わせて健康に良い様々な食事パターンが可能であることを示している。
*1 連邦政府(農務省・保健福祉省)による健康的な食に関する指針で、多くの州・地域における栄養政策の基礎となっている。果物・野菜・全粒穀物を多く摂取し、精製穀物・砂糖・塩分・脂肪分の多い肉類を減らすことを推奨している。*2 単位時間当たりにイベントが発生する相対的な危険度(ハザード比が0.81の場合、危険度は0.81倍となる)
Shan Z, Wang F, Li Y, Baden MY, Bhupathiraju SN, Wang DD, Sun Q, Rexrode KM, Rimm EB, Qi L, Tabung FK, Giovannucci EL, Willett WC, Manson JE, Qi Q, Hu FB. Healthy Eating Patterns and Risk of Total and Cause-Specific Mortality.
2023/02/01
Healthy Eating Patterns and Risk of Total and Cause-Specific Mortality